魔王は触る
今は宗教国家リスマス向かう途中、その夜だ。野宿をしていて、クラルテは寝ている。
俺は本を読んでいたが、突然にクラルテが気になった。
クラルテというよりも宿で触った、頬のむにむに感に。
あの気持ちのいい感覚をもう一度味わいたくなった。
俺は堂々とクラルテの寝ている方へ歩いていく。
そしてクラルテの横についたらしゃがんでクラルテを観察する。
寝相は前と同じで、仰向けに寝ていて両手はおなかの上だ。
ほっぺむにむにに俺の両手の血が騒ぐ。
俺は迷いなくクラルテの頬を二本の指で挟む。
むにむにむにのむにゅ
「やはり天然物は違う」と本にも書いてあったが、とても気持ちがいい。永遠に触りたい。
「ん。んー......?ヴェセル様ー、またですかー?」
「ああ。」
クラルテを起こしてしまった。
「気持ちいい。」
「それは私が起きている時でいいので、今は寝かしてくださいー。ふぁーぁ。」
「ああ。」
「本当に困った大きいお兄ちゃんですねぇー。」
クラルテはそう言うと、また横になってスースーと寝息をたて、寝た。
流石にこれ以上触るのも無粋だと思い、俺はまた本を読む。
本を読むのはやはりいい。知識は財産になる。
だが、クラルテの頬をむにむにするのも捨てがたい。
そんなどうでもいいことを考えながら、俺は読書に没頭した。




