魔王は出会う
初投稿です。
気がつけばそこに立っていた。
わかっているのは、自分が魔王であること。
あたりを見渡してみると、山の頂上付近にいるようだ。木が生い茂り場所はよくわからない。
ここはどこだ?
何をすればいい?
まずは山の頂上へ行っていこう。
山の頂上へはすぐについた。
鳥居がある。
ただそれだけ。
俺はきた道、獣道をまた行く。
歩いて暫くすると夜が来た。
疲れてはいないが、都合よく木に大きい空洞、樹洞があったので、そこで丸まって寝た。
最初は全く眠れなかったが無理矢理寝た。
朝、まだ暗いが何もすることがないので、山を下る。
その日も山の途中で日が暮れる。かなり高い山だったようだ。
その日は切り株があったので、それを枕にして無理矢理寝た。
寝にくい体質らしい、それか枕のせいだ。
目が覚めたらちょうど日が昇っていた。
この時間に目覚めるのは少し気持ち良い。
今日も山を下る。大分傾斜が緩やかになってきた。
遠くには畑が見える、そこに向かおう。
畑の隣、山の麓には家があった。
その家に近づいていくと。
「だ、誰ですか!?ここには誰も近づけないはずなのに...」
籠を背負った少女と出会った。
「俺は多分魔王だ。」
「えっ?本当に...魔王なんですか?」
「ああ。逆をいえばそれしかわからん。」
「ほんとーに魔王様なんですか?」
「たぶん。」
「本当に本当に?」
「きっと...」
「魔王様っぽいですね! 少し家の中で待っていてください!すぐに支度をしますので!」
そう言うと少女は俺を家に招き入れた。
少女はカバンにものをどんどん詰め込んでいく。カバンの容量以上にものが入っているので、あのカバンは魔法のカバンなのだろう。
「支度ができました。今から近くの町に行きますよ!」
少女に連れられて、俺は家を出て道に沿って歩く。
「私、お母さんに言われてたんです。おかしな魔王がいずれ来るからその時は一緒に行きなさいって。」
「そうか。」
少女に語りかけられ返事をする。
「その魔王は産まれたばかりだから常識を教えなさいとも言われました。」
「親はどうした?」
不意に気になった。
「旅に出てもう帰ってこないそうです…」
「死んでないならいいじゃないか」
何故か俺は少女を慰めた。
「そうですよね!あっ!いまさらですけど、私はクラルテって言います。よろしくお願いしますね。」
「ああ、よろしく。...そういえば、俺には名前が無い。」
俺は魔王。それ以外の知識がない。
「そうなんですね。では、しばらく魔王様とお呼びしますね!」
クラルテに元気よく言われた。
「お前、俺に名前をつけないか?」
「ええっ!?私がつけてもいいんですか!?」
「ああ、頼む。」
「ちょっと待ってくださいね。今すぐには決められませんので、また後でお伝えします!」
「ああ。」
そんな会話をしながら俺らは街を目指す。