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魔王は感謝する
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アースガル大陸の港町ユウサに、俺たちは荷物を持って船から降りた。
「うわー!ウンアとは比べ物にならないくらい大きいですね!」
「ああ。」
ユウサの港はいろいろな場所から荷物が運ばれてくるらしく、大きくて活気が溢れている。...本に載っていた。
確かに活気がある。
「ヴェセル様!とりあえずこの地図の南西に行きましょう!こっちに行くと大きな国があるらしいですよ!」
「ああ。」
「楽しみですね!こんな道選びだけでもワクワクします。」
「そうか。」
クラルテの顔を見ると、本当にワクワクしているようで、俺にとっては少し羨ましい。
「ヴェセル様!こっちです!」
「ああ。」
クラルテは地図を片手に、空いている方の手で俺の手を引く。
思えば俺は、この少しの旅の間だけで何回も手を引かれた。
手を引かれないと何もしない俺に、手を引くことで、道を教えてくれた。
俺はクラルテに感謝しないといけないのかもしれない。
俺はこの気持ちを忘れないように今伝える。
「クラルテ。」
「なんですか?」
「ありがとう。」
「えっ!私何かしましたか?!」
「手を引いてくれて、ありがとう。」
「なんだ。そんなことですか!私はこれからもドンドンヴェセル様の手を引いて行きますよ!!覚悟してくださいね!」
「ああ。」
この子といると心が暖かくなる。
そうして俺達は町の中を歩く。




