魔王は宗教を知る
今日最後です
朝起きると大陸が目の前にあった。
不意にクラルテが聞いてきた。
「私たちがいた島がピスカ島っていうこと、知ってましたか?」
「いや。」
「じゃあこれも知らないんですね。ヴェセル様が下りてきた山は、ピスカ山って言って霊山なんです。自然と平和の神がいるそうですよ。」
クラルテは続ける。
「実は私の家族全員、自然平和教っていう宗教に入っているんです。信仰の対象は自然と平和の神です。私は全然熱心じゃないんですけど、お父さんがとても熱心でした。」
「そうか。」
「はい。自然平和教の教えは「自分にとっての平和と自然を愛すること」それだけです。特に活動なんかもありませんでした。」
「そうか。」
クラルテはまだ続ける。
「私、実は旅をしたかったんです。親に言われなくてもですね...」
「そうなのか。」
「お母さんが自慢してくるんです。旅はいいぞって。それでお父さんも見つけてきたみたいです。」
「そうか。」
「なので私、旅ができて嬉しいです!ありがとうございます!ヴェセル様!」
「ああ。」
俺は何もしてないのに礼を言われた。
「もうすぐ大陸に着きますね!大陸の名前はアースガルです。アースガル大陸はとても広いらしいですよ。」
「ああ。」
そんなことを話しながら、船は上陸した。




