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魔王は豪雨に襲われる
感謝
夜が明けた、船での旅は続く。
「ヴェセル様!甲板に行きますよ!」
「ああ。」
いつものように俺は手を引かれ、甲板に出る。
空を見ると、今日は何故か雲行きが怪しい。
「こりゃあ、ひと雨降るなあ。」
船乗りの人がそう言っている。
すると突然、強い風が吹いた。
波も出てきて船が揺れる。
「やべえ、ゲリラ豪雨だ!みんな船の中へ!」
俺はいつものように魔法を使おうとすると違和感を感じた。
しかし気にせずに俺は「雨を止ませる」という意思を込めて、力を放つ。
が、魔法が出ない。
もう一度するがダメだ。
雨も激しくなり始めた。
船の傾きも激しくなってきた。
「ヴェセル様!早く中へ!」
クラルテに手を引かれ俺は船の中に入る。
船の揺れに耐えること数分で、雨と風がやんだ。
「いやあ、短めでよかったなあ。雨が長い時は船が壊れるからなあ。」
ゲリラ豪雨は危ないらしい。
船は進路を正し、前進する。
まだ大陸には着かない。
謝謝




