魔王は謝る
固定の勇者が帰ってきた。
俺たちは帰ってきた固定の勇者のもとへ、帰ってきたことがわかり次第、向かった。
固定の勇者に会う。
前のようなプレッシャーが嘘のように消えている。
「固定の勇者様!すみませんでした...あんな木を生やしてしまって...」
クラルテが謝る。
なら俺も謝らなければ。
そう思い、言葉を口にしようとすると、固定の勇者に止められた。
「あれは君たちがやったのかい?ふふ..あっはっは..面白くて結構、いい感じになってるじゃないか!面白いから許すよ。別に迷惑でもないしね。」
どうやら許してくれたみたいだ。
というか最初から怒っていなかった。
「ありがとうございます!うちのヴェセル様をちゃんと躾けておきますので。」
俺はクラルテに飼われていた?
「君たちの旅はまだ続くんだろ?なら旅の準備をしっかりして出て行くんだよ?」
「はい!わかりました!ありがとうございます!」
「そうそう、そのヴェセル君だっけ?君の属性の一つは「自然」だよ。それじゃあ気をつけてね。」
固定の勇者は去っていった。
それよりも、俺の属性がわかった。
何かネタばらしをされたみたいで釈然としないが、これで俺が何をできるのかがわかる!
俺は少し意気込む。
「ヴェセル様!よかったですね、属性がわかって!でもなんで固定の勇者様にはわかったのでしょうか?」
「わからない。」
確かに不思議だ。
もしかしたら、そういう魔眼を持っているのかもしれない。
そんなことより、おれは自分という器が満ちてゆくことに歓喜する。
そして旅はまだ続く。




