魔王は創造を見る
俺たちは今ガテツの宿にいる。
そして俺とプロミネは静かに、クラルテを見守っている。
なぜこのようなことをしているのかというと、クラルテが魔法に集中しているのだ。
創造の魔法は、材料を使わなくても行使できる。
クラルテの今の姿勢は、床に座って両手を開き、腕を前に向け目を閉じている。
この状態で十数分は過ぎている。
かなりの集中力だ。
数分するとクラルテの手の前に光の玉が出来てきた。
その玉は、やがて棒状になる。
その棒に、この前見たようなハルバードの刃と槍のような先端、そしてレバーのような棒が芯となる棒に対して垂直にできる。
やがて、光の武器となった。
その武器はだんだんと金属のような光沢が出てきて、本物の武器となる。
「ふう...出来ました。」
クラルテは疲れたようにそう言う。
実際に疲れているのだろう。
クラルテが想像したのは、クラルテに合うサイズの、ハルバードにレバーがついた、一見変わったものだ。
「そのレバーはなんなんだい?」
俺がいう前にプロミネが言う。
「これはですね。私のお母さんが作っていたのを真似したんです。一回やってみせますね。」
クラルテは疲れているようだが、お手本を見せてくれるようだ。
クラルテがハルバードを逆に構え、レバーを引く。
ドッ
何かが宿の壁に穴を開けた。
「あー!ここが宿だったこと忘れていました!あわわ!どうしましょう!」
穴を塞げばいいのか。
俺は魔法を使う。
壁は木製だ。ならいける。
確信を持って、放つ。
ぽん
壁に何かが詰まった。
形容しがたい円状の補修。
まあとにかく、穴は塞げた。
「ありがとうございます!ヴェセル様!この武器は今のように玉を飛ばせるんです!私のお母さん、すごいですよね」
玉が放たれたのか。
見えなかった。
クラルテの母はこんなものを作っていたのか。
でもそれを模倣したクラルテも十分にすごいと思った。
何はともあれ、クラルテの武器は完成した。




