魔王は鍛冶を見る
別の日に俺たちはまた、鍛冶屋に来ていた。
ここに来た目的は一つ、鍛冶をしているところを見ることだ。
発案者はクラルテ。
まあ「創造」の血が騒ぐのだろう。
性格と属性が一致するとはかぎらないらしいが。
「なんどもすみませーん!ちょっといいですかー!」
するとやはり鉄を打つ音が止み、ドワーフのおじいさんがやってくる。
「おうおう、また来たのか。今日は何の用じゃ?」
「実は、鍛冶をしているところを見たいんです!」
「そうか、そういうことならこっちに来な。」
おじいさんは俺たちをカウンターの奥の方へいざなう。
カンッカンッ
おじいさん以外にも鍛冶屋はたくさんあるらしい。
だが、クラルテが選んだ鍛冶屋だ。問題はこれっぽっちもない。
「鍛冶に使うのは、この金床と槌だけじゃ、あとは魔法でなんとでもできる。お前さんたちも知っているだろうが、より緻密でより繊細なイメージを込め、魔法を使う。実際にやってみようかの。」
そういうとおじいさんは金床に鉄のインゴットを置いた。
「よく見ておくんじゃぞ。」
おじいさんは目を閉じ、作業に集中し始めた。
まるで、鍛冶以外のことをとり去り、悟ったようになった。
そして槌で打つ。
カンッカンッ
インゴットは形を変えてゆく。
ただの長方形が今では金棒のように伸び、刃ができる。
できたのは両刃の大剣。
最初のインゴットより明らかに質量が増えている。
魔法はすごい。
改めてそう思う。
「どうじゃ?参考になったかの?」
「はい!ありがとうございます!」
クラルテが喜んでいる。
嬉しい。
俺たちはもう少し街を回り、宿に戻る。




