魔王は草生える
俺たちはガテツの街を歩いている。
「ヴェセル様!プロミネさん!まずは鍛冶屋さんに向かいましょう!もしかしたら二人に合う武器か防具が見つかるかもしれませんよ!」
「クラルテ、落ち着きなって。鍛冶屋は待ってくれてるんだからね。」
「ああ。」
「むむむ!わかりました!」
「本当に元気がいいね...あと魔王には武器も防具も必要ないと思うよ?」
「えっ!そうなんですか?」
「ああ。そうさ。武器は魔法、防具は生まれた時から来ている魔法のローブがあるからね。」
「ああ。」
「そうなんですね!初耳です!」
ふむ、そうなっていたのか。
俺には、魔王が最初から知っている常識がないから、俺も初耳だ。
「でもそれじゃあ接近戦の時はどうするんです?」
「ああ。それはこうやるのさ。」
プロミネはそういうと魔法を使う。
すると一瞬でプロミネの全身に炎が纏わりつく。
「どうだい?かっこいいだろ?これは身体能力強化も兼ねているんだよ。」
「わー!本当にかっこいいです。ヴェセル様はどうなんですか?」
俺にふられてきた。
俺もやってみよう。
全身に纏わせるように魔法を使ってみる。
ニョキッ
頭のてっぺんに何か生えた気がする。
周りに聞いてみよう。
「どうだ?」
そう聞いたが、クラルテとプロミネはプルプル震えている。
何か持病だろうか?
いや、どうやら笑いを堪えているみたいだ。
「ヴェ、ヴェセル様...ふふ....あの、頭のてっぺんに...ふふふ...草が...」
「あ、あんた...どんな魔法を....くくっ...使ったんだい....?」
頭に草?
触ってみる。
何か生えてる?
ぷちっ
ちぎる。
草だ。
双葉の草が生えていた。
俺の魔法はおかしいのか?
そんなことをしながら、鍛冶屋に着いた。




