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不死身ちゃんとユリ世界。  作者: 愛犬元気。
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三話



ロボットに本当の家族はいない。

不死身にも勿論いない。


どちらもいつの間にか存在していた。

どこで生まれたのか、どこから増えたのかも誰一人分からない。


ただ与えられた役をこなすだけで生活は保障される。


ロボットには最初住居は無かったが、あまりにも増え、そして街をより綺麗に豪華にする為に、都会の方ではロボットが一人で住居を持つことはおかしく無い。


昔はストリートロボットもいたが、見た目を気にするセレブ民により、ミシルも最近一人小さなアパートに住んでいた。



そこでやる事は充電のみである。

最近のロボはどうやら私よりも性能がいいらしい。


「…。」




ミシルは腰の辺りにある柔らかい皮膚を開けると、丸まったコードを取り出しそれをポットのように磁石になった充電器をとりつけた。


バッテリーがぐんぐん上がると、今日の疲れが取れてくる。

ロボが感じる快感は唯一これだけだ。


さきゅばすちゃんの昼間の言葉が忘れられない。


確かに、あの時桃子さんが別の彼女と話していた時、また別の感情に変わった。


喜怒哀楽の中で言うなら哀に近いもの。

単純な四つの感情しかないはずなのに、なんと言うか複雑な、この感情は初めてだ。


「…桃子さん。」



あの人がもし今隣にいたらどんなに素晴らしいことか。



「…。」


ミシルは狭い部屋で目を瞑った。





「ねえねえ、早速近づきたいでしょ?」



次の日の一時間目が過ぎた頃、さきゅばすがミシルに話しかけた。


「いや、でも…。」


「さっき、彼女の筆箱を移動教室に置いてきて図書室に閉じ込めてきたから。行ってきな。」


と、彼女はミシルの耳に囁いた。


さきゅばすの強引な指示もあり、ミシルは図書室に一人で向かった。



「…。」


ガチャ



図書室は扉は開いていた。



ミシルは静かに中に入り、中を覗く。


すると奥で、ガサガサと音がする。

彼女が慌てて駆けつけると、桃子が図書室の棚の下敷きになっていた。


「誰かいる?助けてくれないかな。」


桃子の声が一つの棚の下から聞こえる。


ミシルが軽々その棚を両腕で安安と起こす。



バラバラバラ!


と、棚の本が彼女の上に落ちてきた。



「あ…。」


ミシルはその光景にヒヤッとなった。


「あはは。大丈夫大丈夫。ありがとう助かった。重かったよ。」


と、爽やかな顔がニッと笑った。


「はい…。」


ミシルの頭に彼女の笑顔が深くインプットされた。



「ちょっと起こしてくれる?」


と、桃子が手を伸ばす。


「はい。」


ミシルがその手を握ると、桃子がその手を握る。


彼女の細くて柔らかな指が5本ミシルの手を掴んだその時。


「わっ!?」


桃子が足元の本に滑り、ミシルが思いっきり下に引っ張られてしまった。


「!?」


ミシルもびっくりして慌てて手をついたが不可抗力で桃子の唇に唇が触れた。



「ごめんなさい!!」


慌ててミシルが引っ込むと、桃子もまたびっくりしたような顔をしていたが、すぐ笑顔に変わった。



「ごめんね。悪いのは私だから。それはお礼になるかな?」


「お礼…?」


「もうちょっとだけ手伝ってもらえるかな。本をどうにかしないと。」



「はい。」



ミシルは床に落ちた本を桃子と共に拾い始めた。


とても笑顔が素敵な人だ。

それに、唇も柔らかい。


不死身にとってその行為は真実の愛とか言う神聖なものだとクラスの子が言っていた。


それを、私がこの人にしてしまった。



だが、桃子はそんな事を気にも止めずに律儀に本を最初にあった通りに収納し始めた。


「これどこにあったか覚えてる?」


「確か、ここだったと思います。」


「これは?」


「ここ…。」


「流石だね。ミシルちゃん。」


「え?」


「ん?」


桃子は不思議そうな顔をした。


「わ、私の名前…。」


まさか、彼女が自分の存在を知っていたなんて。


「え?ミシルちゃんだよね?間違ってないよね?それとも別の名前があるの?」


と、冗談っぽく笑っている。


「い、いいえ!ミシルです。桃子さん。」


「かしこまらなくていいのに。桃子でも、桃子ちゃんでも。同級生なんだからもっと楽にして。」


と、彼女はまた眩しく笑った。





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