居場所。
伊織は、これからの自分の居場所を見つけれます。
時は大江戸、太陽が西に傾く頃。
「新撰組に入る。絶対。」
伊織は意を決して、新撰組一同が集まってる部屋へと入る。
「なんで此処に女子がいるんだ?」
そんな声が耳に入る。
視線が痛い。
だが伊織は意を決して新撰組一同の前に座った。
「初めまして。早乙女伊織です。この新撰組に入れていただけますでしょうか?」
「!?」
伊織の唐突な願いにその場にいた者が目を丸くする。
「でも、新撰組は、女子は…」
あるところからボソリとそう聞こえた。
(やっぱり、そう言う人もいるんだよね…)
「……そうですよね……。」
伊織は俯いてそう言う。
(でも…!)
顔を上げて、前を向く。その行動にその場にいた者は目を奪われた。
「藤堂さん、あそこにある、古紙つかってもいいですか?」
藤堂の近くにあった古紙を指差した。
「あ…どうぞ…。」
藤堂はそう言って、たたまれていた古紙を伊織に渡した。
「ありがとうございます。」
何をするのか、皆がはらはらと見守る。
伊織は古紙の上に座る。
「この時代では、髪は…女の命…なんですね。」
伊織は昔、母から言われたことを思い出した。
『髪は女の命。江戸の女の子はみんな髪を大事にしてたのよ。』
まさか、そんな声が聞こえてる。
伊織は懐から藤堂にもらった刀を取り出して、左手で髪を持つ。
そして、ばさり。
パラパラと古紙の上に髪が落ちる。
「この様に女の命を捨てても、入れてはもらえませんか?」
キリッとした目で新撰組を見据える。
決意を秘めた眼差しを前にゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
パチパチパチパチ
「素晴らしい!」
集団の中から1人声を張り上げて言った。
皆が声の方を見た。
そこには、局長、近藤勇がいた。
「いいだろう。早乙女伊織。あなたは新撰組の仲間だ。」
「…!ありがとうございます!」
頭を下げると、まわりからパチパチと拍手が起きた。
(ここが私の居場所。必ず役に立つようになる。)
次回は、伊織、新撰組に馴染めるのか!?