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掌編小説集2 (51話~100話)

愛の絆

作者: 蹴沢缶九郎

女性アイドルとの握手会参加券が封入されたCDがある。そのCDに封入された参加券一枚で、約十秒ほどアイドルと触れ合える握手会に参加出来る。


握手会には毎回長蛇の列ができ、それぞれに参加券を手にしたファンは、アイドルとの夢の時間がやってくるのを待つ。中には一人何枚も参加券を持つ者もいた。


「いつも応援してます」 「ぼくの事、覚えてる?」 「ずっと好きでした」 「結婚しよう」


アイドルに掛ける言葉は人様々だ。


「会えて嬉しかったです」


「本当、ありがとう。またね」


その日、最後のファンとの交流を終えたアイドルの元に、マネージャーがやってきて言った。


「どうもお疲れ様。疲れたでしょ?」


「ううん、まだまだ全然よゆー」


彼女は笑いながら力こぶを作って見せた。


「そう、なら良かった。今日の仕事はこれで終わりだから、表で待たせてあるタクシーで上がって。僕は別の現場があるから、先に失礼するね」


「は~い。お疲れ様でした~」


彼女は手早く帰り支度を済ますと、待機させたあったタクシーに乗り込み会場を後にした。途中、夕食の食材が足りなかった事を思い出し、スーパーに寄ってもらい買い足しをする。


自宅のあるマンションに着き、玄関のドアを開けると、中から出てきたマネージャー、もとい彼氏が、


「おかえり」


と彼女を迎え入れ、アイドルから一人の女性に戻った彼女は、


「ただいま~」


と彼氏の胸に飛び込んだ。


お金できっかけを生み、参加券が繋いだ関係を容易く凌駕するのは、親しき人の愛である。

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