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Gナンバーの居候猫  作者: 小高まあな
第六幕 猫の毛並みを確認すると。
12/14

6−1

 ここは、どこだろう?

 どこだかわからない。ただ暗い場所に隆二はいた。

 視線の先、僅かな光が見える。そちらに向かって歩き出す。

「……?」

 視界の先に、人影。目を凝らす。

 肩より少し長い綺麗な黒髪、線の細いシルエット。見覚えのある柄の、着物。

「茜っ」

 名前を呼ぶ。叫ぶ。

 人影は振り返る。隆二のよく知っている笑顔を浮かべて。

「茜っ」

 駆け出す。

 手を伸ばす。彼女の右手を掴み、

「あかねっ」

 その瞬間、彼女は白い骨となり、闇の中へと崩れ落ちた。

 喉の奥で悲鳴があがる。

『りゅーじ』

 背後から舌足らずな声で呼ばれて振り返る。

「マオっ」

 ふわりふわりと、居候猫が浮いていた。

 よかった、マオはまだ居た。

「マオ……」

 手を伸ばし、マオの右手を掴もうとすると、

『大丈夫だって言ったのに、嘘つき』

 淡々とマオが呟き、その姿が掻き消えた。

 掴み損ねた右手。

「っ、マオっ」

「帰って来るって言ったのに、嘘つき」

『大丈夫だって言ったのに、嘘つき』

「嘘つき」

『嘘つき』

 声が責め立ててくる。

 姿は見えないのに声だけが。

「だからちゃんと見とけって言ったのに」

 別の声がどこかで囁く。

「京介っ」

 声をあげても誰の姿も見えない。

「嘘つき」

『嘘つき』

「嘘つき」

 やめろ、やめてくれ。頼む……。

『隆二の、嘘つき』



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