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真・恋姫†無双~絆創公~ 小劇場其ノ二

小劇場其ノ二


 さて、次は俺の父さんの事だ。

 元々もそうだけど、会社勤めもあってすごく真面目な人間だ。俺の激しい女性関係に比較的受け入れてくれた母さんに対して、父さんは皆に頭を下げて回ったそうだ。

 その様子を見た何人かは、“本当にお前の父親なのか?”って俺に訊いてきた。まあ、そう思うのも無理は無いかな。婿養子って事もあるのかもしれないけど、父さんが今まで付き合った女性って母さんを入れても片手で収まる位だったハズ。

 それを話すと、“お前はその反動でこうなったのか”とか“何故父親に似なかったのか”とか言われて少し泣きそうになったけど。

 そんな父さんだから、当然ギャンブルの類には一切手を出さない。お酒も嗜む程度に抑えている。母さん曰わく、“燎一さんをお父さんが認めたのは、そんな自分に厳しい所が似ているからじゃないかしら”と言っている。

 そんな話をしたら“ますます似ていないな”と言われたが、これも母さん曰わく、“実は燎一さんは自分の知らない所で女性にモテている”らしい。誠実な所が女性に人気だが、真面目すぎて鈍感だから気付かないみたいだとか。

 これを話すと、“厄介な部分は似てしまったのだな……”と呆れられて、俺はもう泣くしかなかった。


 で、父さんがこの世界で何をしてるかを話す前に、今俺の目の前で行われている状況を説明しよう。

 ヤナギさんが使用している部屋の中にアキラさんと父さんがいて、父さんの傍には母さんが立っている。

 そして、皆の様子はというと……


「アキラ、そっちはどうだ!?」

「もう少しで終わります!!」

「泉美、次の資料を!」

「はいっ、どうぞ!」


 この会話だけで、何となく慌ただしい状況なのは解ってもらえると思う。

 父さんに用があるから来てくれ、と言われて。いざ来てみたら、この有様だ。

 わざわざ忙しい事を知らせたかったのではなく、俺と話したすぐ後に状況が変わったらしい。


 今皆がやっているのはこちらの世界の仕事ではなく、ヤナギさんとアキラさんの仕事だ。

 何でも、二人がいた世界にいる部下の一人にデスクワークをさせたら、全然帳尻が合わなくなったらしく、局員全員で手分けしてやり直しをする事になったとか。

 その仕事で電卓での計算をする事を聞いた父さんは二人の加勢をする事を申し出て、普通なら二人は断るんだろうけど、よほど切羽詰まる状況だったのか二人同時で頭を下げて協力に感謝していた。


「主任! こういう仕事をハル君にやらせたらダメだって解ってたでしょーが!? 彼は力仕事がメインなんでしょ!?」

「仕方ないだろうが! たまたま手が空いていたのが彼だけだったんだ! 喋る暇があれば手を動かせ!!」

「泉美! そっちの山を持ってきてくれ!」

「はいっ、ただいま!」


 男性陣全員は各々、目一杯電卓を叩いている。出来るなら俺も手伝いたかったが、この凄まじい状況の中で声を掛ける勇気がなかった。下手に手を出すよりも、現状を理解している人間に任せた方が得策だ。

 余談だが、さっきアキラさんの言葉に出て来た“ハル君”というのが、この騒ぎの原因だという。まあ、説明しなくても解ると思うけど。


「……よしっ、これで終わったぞ! アキラ、本部へ転送を頼む!」

「了解致しましたー!!」

「北郷燎一様、北郷泉美様。御協力感謝致します……!」

「いえいえ、お役に立てたのなら何よりです」

「私は燎一さんのお手伝いをしてただけだから、何もしてないですよ?」

「いいえ、お二人には何か御礼をしなくては……」

 ヤナギさんは何度も何度も二人に頭を下げていた。


 ちなみに父さんのこの世界での仕事は、今のような雑務が主だったりする。

 勿論母さんと同じように、この世界の言葉を読めないのだけど、軍師の皆に迷惑をかけたくないとの理由で、独学で言語の習得に勤しんでいる。

 それに対してまた皆から、“何故肝心な所を受け継がなかったのか?”となじられて、満身創痍の俺が後に残ったのはお約束だったりする。



 おまけ


「一刀、これを」

「これって父さんがいつも読んでた本じゃないか。俺にくれるの?」

「いや、お前の解説付きでこの本を貸す事を、穏さんと約束していてな。持っていってくれないか?」

「ああ……。なるほどね……。分かった、逝ってくる」

「何か違うニュアンスに聞こえたが?」

「いや、合っているよ」







-続く-

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