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04:『趣味は実況です。覗き見ではありません』

―キン・コーン・カーン・コーン―


 皆様こんにちは。今日も変わらぬ、皆大好き石上直也です。嘘です。

 さて、現在昼休み、あらかじめ買っておいた実況のお供(あんパンと牛乳)を両手に抱え、ターゲットの動きを実況したいと思います。


「お前…今、横入りしただろ」


「はあ?」


 なんと、兄貴は不良と喧嘩していた!


「はあじゃねえよ。横入りしただろ」


「それが何なんだよ」


「ちゃんと後ろに並べ。順番だろうが」


 どうやら、不良が購買前の行列に横入りし、それを兄貴が注意した。そんなところですね。

 不良は兄貴の言葉に大変ご立腹だった。

 ああ、逆ギレってやつね。


「なんでてめえに指図されなきゃならねえんだよ!」


「指図したつもりはない。注意しただけだろ?」


「うっせえな! やんのかゴラァ?!」


「はあ……」


 殴りかかる不良、溜め息を吐く兄貴。

 あーあ、あの不良…死んだな。




「……すみませんでした」


 僅か五秒のことだ。

 兄貴は突っ込んできた不良の攻撃を片手で受け流すと、その勢いを利用してカウンターの裏拳を不良の顔に叩き込んだ。

 一発KO!!

 とぼとぼと帰っていく不良。

 その光景に、周りから拍手があがる。

 流石兄貴、流石主人公!


 しかし、



「い〜し〜が〜みぃ〜!!」


 何やら廊下の向こうから、こちらに向かって何かが走ってきます。

 呼ばれたのは、勿論僕ではなく、兄貴ですね。


「あんた、何やってんのよ!!」


 突撃してきたのは、頭のカチューシャがトレードマークで兄貴のクラスの風紀委員長である『日比谷 凛』さんでした。

 日比谷さんの剣幕に、兄貴は首を傾げる。


「いや、横入りした奴を注意してただけだけど」


「怪我負わせてないでしょうね!」


「まあ、多少は」


「いくら注意してても、怪我負わしたらアウトなのよ!!」


「いやいや、向こうから殴りかかってきたんだから正当防衛だろ」


「殴りかかってきた?!」


 兄貴が言った言葉に、日比谷さんは顔が真っ青になる。


「け、怪我とか、大丈夫なの?」


「ああ、まあカウンターかましちゃったから、ちょっと怪我してるかもな。でも、そんな大した――」


「相手の方じゃなくてあんたのことよ!! あんたは怪我大丈夫なの?!」


「全然大丈夫だけど」


「良かったぁ……」


 安堵の声を出す日比谷さんに、兄貴は首を更に傾げる。


「良かったって、俺のこと心配してくれたの?」


「ばっ/// 違うわよ! あ、あんたのことをなんで私が心配しなきゃならないのよ!! 勘違いもいいところだわ、私はあくまで風紀委員長として!!」


「はいはい。分かったよ」


「わ、分かればいいのよ、分かれば……フンッ」


 ええと………まあ、皆さんのお察しの通り、日比谷さんは典型的なツンデレです。


「あ、そうだ」


 兄貴は日比谷さんにパンを渡した。


「え、なにこれ?」


「心配かけたお詫び。俺、次の時間移動教室だから先行くよ。じゃあな」


「あ、ありがとう……って、だから私はあんたの心配なんてこれっぽっちもしてないって言ってるでしょう!!」


「はいはい。素直に受け取っとけって! 怒ってばっかいると、せっかくの可愛い顔が台無しだぞ、マジで!」


「なっ/// か、可愛いですって?!」


 兄貴の去り際の台詞に赤面した日比谷さんは、肩を震わせて兄貴の方へ駆け出した。


「待ちなさい、石上! よくも可愛いって言ってくれたわね!!」


「はっ?! 褒めたのになんで怒ってんだよ! マジで意味分かんねぇ!!」


 そうして、兄貴の日比谷さんの追いかけっこが始まるのだったが……僕の身体能力ではあの二人のスピードに到底追いつけないので追跡は諦めます。無念です。


――キン・コーン・カーンコーン――


 おや、昼休み終了を告げるチャイムですか。

 では、今回はこれくらいでさよならですかね。

 また放課後に会いましょう!!


 早く教室に戻らないと、男の魂がっ!

【日比谷 凛】

性別 :女

誕生日:7月3日

趣味 :裁縫

【備考】

 我が校の言わずと知れたツンデレ風紀委員長。

 トレードマークはカチューシャなので、すぐに見つかります。

 休み時間などは基本的に学校中を見回っているため、結構な確率で遭遇できます。

 兄貴とは犬猿の仲と思われがちですが、周りには夫婦漫才にしか見えないという事実。

 それにしても、最近校内で友里を見かけないなぁ。どうしたんだろ。

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