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本の虫

作者: 未遂
掲載日:2026/05/04

本の虫


皆さんは本の虫という言葉をご存知だろうか。本の虫とは、四六時中読書に没頭する人のことを指す。


つまり僕のように、常に片手に本を持っているような人の事だ。本は素晴らしい。自分が知らない素晴らしい世界に、簡単に足を踏み入れることができる。


話が逸れました。では改めて、

皆さんは本の虫を見たことはありますか?


僕のことじゃないんです。自分で説明してなんですけど、僕は人間なんです。


見たことない?じゃあやっぱり、こいつは僕にしか見えないのかな。


今僕は本を持っている。その本の中から虫が出てくるんだ。


と言っても、気持ち悪い虫がうじゃうじゃ蠢いている想像をしないで欲しい。この虫の見た目はてんとう虫に似ている。


初めて見た時には驚いた。ピッタリと閉じられたページから厚さ5ミリくらいの本の虫が出てきた。潰したかと思いページを確認したがなんともなく、本当にわけがわからなくなった。


本の虫という名前は私が呼び出したわけではない。この虫自身が喋ってきたんだ。


私は本の虫、知りたいことを何でも教えましょう。


こう喋ってきた。おかしい、高校二年生の僕に薬物を勧めてくる友達もいなければ普通の友達もいないはず。いつの間にかキメてしまったのだろう。


あなたは薬物を摂取したのではありません。私は現実に存在します。


どうやら本当らしい。目の前に映る、喋るてんとう虫は実在するようだ。


引きこもり生活を送っていた僕にとって、家族以外の唯一話せる相手。仲良くなるのにそう時間はかからなかった。


本の虫は適当な本に止まり、その本に関する知識を僕に教えてくれる。


もう知り尽くした本に関しても、知らない新しい知識を与えてくれる。


そこで僕はひとつ、試してみたいことを思いついた。だから今日久しぶりに外に出てみたんだ。


久しぶりに外に出たのに、よく本の虫について話しかけられたねって?


いいかい、コミュ障というものは喋れない以外にも、距離感を図ることが苦手という事も定義として含まれるんだ。僕のコミュ障ぶりを舐めないでもらいたいね。なんだか泣きたくなってきた。


とりあえず君にはこの本の虫は見えないんだね?今君の花に着いているけど。払っても無駄だよ。僕も触れないんだ。


試したいことはなんだって?ごめん、話が逸れたね。ズバリ、官能小説を見に行くんだ。


いや、アダルトコーナーは18禁じゃないか!そりゃ気になるけど、僕みたいなチキンは法律を破る勇気はないよ。


でも、官能小説なら普通の書店の普通のコーナーにあるんだ。

つまり合法!…合法なのか?


本屋に着いた。息が乱れてるのは体力のなさから来るものであって、決して興奮じゃないよ。


ここまで来てくれた君も見守って欲しい。さぁ本の虫よ、官能小説に止まるのだ!


止まった!何かわかることはあった?何が書いてあった?




ダメだ帰ろう、期待していた分だけショックが大きいよ。


何も聞こえなかったのかって?聞こえたさ、本の虫は多分伝えようとはしてくれていた。それを理解できなかったのは、おそらく僕が原因だ。だって僕は未成年だから、



ピー音しか聞こえなかったんだ。

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