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「オーロラ」


間髪入れずにウォルターは手を広げ、オーロラを抱きしめた。


「殿下」


突然の抱擁と包み込まれた嬉しさで先程の怖さは吹っ飛んでいく。


「よかった。間に合って」


「殿下。ありがとうございます」


さらにきつくきつく抱きしめてくる。


苦しいくらいだったが、それでもウォルターの温かみが伝わってきて嬉しかった。


「終わったよ」


「え?」


「戦争が終わったんだ」


ウォルターが少しだけ抱擁を解いてそれでも抱きしめたままオーロラの瞳を見た。


「君が治してくれた兵士たちががんばって関所に大きな壁を築いてくれたんだが、パルリム国王が殺された。革命が起きたんだよ」


「まぁ」


前世では二年後に起きた戦争の終結。


「これでパルリムの戦争は終わりだ。我が国は国境に兵士を増兵して対応する。俺は王都に戻るよ」


終わったのね。よかった。


「オーロラが兵士たちを治癒してくれたおかげだ。ありがとう」


「いえ。当然のことです。人の命に変わるものはありません」


「さすがだね。俺のオーロラは」


俺の…オーロラ?


それって……。


「早く戻って結婚しよう。そうすれば愛する人をずっと毎日見ていられる」


「愛する人って……」


「君だよ。出会った日からずっと君を愛している」


「そ、」


「君はそうじゃないかもしれないが俺がグラントから君を取り上げたのは愛していたからだ。誰にも渡したくなかった」


今信じられない状況に陥っている。


「わたしはてっきり殿下はノエルを愛しているのだと……」


「はあ?なぜだ」


もうわかっていたことだった。

今のノエルをウォルターは快く思っていないと。

この場にいればわかる。


「あの……」


「どうした?」


抱きしめられたままのオーロラは少しうつむいた。


「わたしもです」


「ん?」


「わたしも愛しています」


「え?」


驚いたのか抱きしめている手が緩んだ。


「わたしも昔からずっと殿下を好きです。突然いなくなった殿下をずっと恋しく思って……」


それからは言葉を紡ぎだせなくなった。

ウォルターがオーロラの口を塞いだのだ。


そのキスはとてもあたたかかった。


「本当かい?」


コクっと頷く。

はずかしい。


「ならば何の問題もないね」


「はい」


「はやく結婚しよう」


「はい」



その日の夜、引き裂かれる思いでオーロラを自らの寝床に寝かし、ウォルターは床に寝袋を引いて横になった。


「結婚するまでは……」


オーロラのその一言がつらかったが、あと少しだと思えば……。


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