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「ではあの侍女はホスピタルへいれるのね」


「はい」


「そう」


義母のエミリアには翌日報告した。

きちんと公爵夫人の執務室に出向いて。

これからオーロラが公爵家の使用人と護衛騎士を手配し、エンジェルの母をホスピタルへと送り届けることになっている。

横には兄のシーヴァがいる。


「父上にはもう報告済みです」


「あの人が納得しているのならいいわ」


「はい」


「もういいわよ。行きなさい」


義母には去るよう言われたが、ひとつだけオーロラは義母に言っておきたいことがあった。


「わたしはお義母様に人を殺めてほしくはありませんでした」


「え?」


「なさぬ仲の、しかもかつては自分の世話をしていた侍女の裏切りを許せない気持ちはわたしも女ですからわかります。ですが、人を殺めると悔いが残ると思ったのです」


「オーロラ。あなた……」


「失礼します」


それだけ言うとオーロラは踵を返した。


「ありがとう」


背後から声が追いかけてくる。


「え?」


あわてて振り向いた。


「いいえ。あなたがいなければ本当に殺めていたかもしれない。それくらい腸が煮えくり返っていたわ。冷静さを欠いていた。あなたのおかげよ」


「いいえ。では行きます」


「ええ。シーヴァも行きなさい。オーロラを見習うのよ」


「はい」


ふたりで執務室を後にした。


シーヴァは苦笑しながらオーロラの頭をつついた。


「お前にはやられっぱなしだな」


「え?」


「いや、すごい妹を持ったもんだ」


「お兄様痛いですわ」


「ふん」


そんなふたりのやりとりを柱の陰から見ている赤い髪の女性がいたことにふたりは全く気付いていなかった。


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