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運命のベットイン

【愛の告白と過去の疑問】

テオの「生まれ変わり」説が都市伝説として世界中に拡散し、


ユキの展覧会『IMAGINE AGAIN』の会場である美術館全体はパニック状態に陥った。


連日、ファンやメディアが殺到し、展覧会は正常な鑑賞が不可能な状態となり、ユキはテオの安全と美術館の機能維持のため、苦渋の決断として、当初の予定を早め、会期途中で閉幕せざるを得なくなった。


テオとユキは、サロンに身を寄せた。世間の喧騒とは裏腹に、二人の間には、運命的な静けさが満ちていた。


「お前は、なぜ私を、ただの舞台俳優で終わらせない?」


テオは、ピアノの前に座り、ユキに問うた。


ユキは、テオの背後に立ち、彼の両肩にそっと手を置いた。


「なぜなら、あなたは愛される運命にあるからよ。そして、私もまた、あなたを愛する運命にある。」


ユキの告白は、ジョン・レノンとヨーコ・オノの記憶を超えた、ユキ自身の人格からの真実の愛だった。


テオは、ユキの手を握り返した。


「しかし、私には記憶がない。私たちが愛し合うのは、過去の亡霊のせいではないのか?」


「いいえ。」


ユキは、テオの横に座り、彼の目を見つめた。


「あなたが私に惹かれたのは、ジョン・レノンの記憶だけではない。あなたが日本語を流暢に話せるように、あなたの魂には、テオ・チャールズとしての、もう一つの愛の記憶が深く刻まれている。」


ユキは、ここで初めて、テオの失われた過去の核心に触れた。




【サキ、日本語で書かれた愛】

ユキは、一枚の古い写真を取り出した。それは、テオが記憶を失う前のテオ・チャールズと、日本人の若い女性が、東京の街角で微笑み合う写真だった。


「彼女は、サキ。あなたが、この日本で、愛を捧げた女性よ。」


テオは、その写真を見て、激しく動揺した。


その女性の姿は、ユキに似ていなかったが、テオの内なる魂に、強烈な親近感と深い悲しみを呼び起こした。  


「サキ...」テオの口から、無意識にその名前が、完璧な日本語で漏れた。


「彼女は...どこに?」


「彼女は、あなたが記憶を失う直前に、あなたから離れた。テオ・チャールズの魂は、彼女を愛する日本語を知っている。そして、彼女を失った孤独も知っている。」


ユキは、静かに続けた。 


「だから、あなたの中のジョン・レノンの魂は、孤独を知るテオ・チャールズの『器』を選んだ。

そして、愛を証明したいテオ・チャールズの魂は、私という『ヨーコの面影』を持つ器を選んだ。

テオ、私たちは、二重の愛の運命を生きているのよ。」




【現代版「ベッド・イン」の提案】

テオは、サキという日本語の過去の愛と、目の前のユキという運命の愛の間で、魂が引き裂かれるのを感じた。


しかし、ユキの言葉は、テオのすべての孤独と謎を繋ぎ合わせる、真実の和音だった。


「ユキ...愛している。」


テオは、英語と日本語が混ざった、初めての心からの愛の言葉をユキに伝えた。


ユキは、涙を浮かべながら、テオの愛を受け入れた。


「私も愛している、テオ。」


愛を確信したユキは、すぐに次の行動に移った。


テオの「生まれ変わり」説が単なるゴシップで終わることを、ユキは望まなかった。


「テオ。私たちの愛は、ジョンとヨーコの時と同じく、世界に平和を訴えかける力を持たなければならない。」


ユキは、テオに、大胆な提案をした。


「結婚しましょう。そして、私たちの愛の証明として、現代版の『ベッド・イン』を企画するわ。」


テオの顔が、ジョン・レノンらしい皮肉と、テオ・チャールズらしい決意に満ちた表情になった。


「ベッド・イン、だと?現代の東京で?」


テオは笑った。 

 

「お前のプロデュースは、いつだって最も過激なアートになるな。」


「そうよ。私たちの愛は、最も過激な平和への挑戦でなければならない。」


ユキはテオの唇に触れた。


「テオ・チャールズとユキ・オザワの愛のメッセージを、世界に発信するのよ。」




【 時の人となる二人】

テオとユキは、電撃的な結婚を発表した。


そして、その直後、二人は東京のドームホテルの一室を借り切り、一週間にわたり、現代社会の戦争や環境問題に関するメッセージを書き込んだプラカードと共に、ベッドに座り続けるというパフォーマンスを、ライブ配信した。


この現代版「ベッド・イン」は、世界中のメディアのトップニュースとなった。


SNS: 「ジョンとヨーコが帰ってきた!」「テオとユキの愛は本物だ!」と熱狂的な支持を集めた。


国際機関: テオが日本語と英語で交互に語る平和のメッセージは、国境と言語の壁を超えて、無視できない力を持った。


テオ・チャールズとユキ・オザワは、

「奇跡の生まれ変わりカップル」

として、時代のシンボルとなった。 


そして、この熱狂の最中、テオとユキは、愛の成就と運命の確認のため、ジョン・レノンの魂が最後に過ごした街、ニューヨークへと旅立つことを決意した。



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