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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part9 『真偽官』セリナと冒険者ギルド

「二人ともこっちに来てそこの椅子に座ってちょうだい」


ファシールとアメリは『真偽官(しんぎかん)』に促されるまま目の前の椅子に座った。


「私の名前はセリナよ。少しの間だけどよろしくね」

「えっと、ファシールです」

「ア、アメリです」


セリナが少し立ち上がり、右手を差し出しファシール、アメリの順で握手をする。


その後、セリナは席に座りファシールの方へ向き直った。


「これから、いくつか質問するから正直に答えてね。『真偽眼(しんぎがん)』」


セリナはスキル『真偽眼(しんぎがん)』を発動し、質問を開始する。


「まず、あなたのお名前は?」


「ファシールです」


「あなたはモンスターを倒したことがある?」


「はい」


「あなたは人を殺したことがある?」


「いいえ」


「あなたはこの領都サリオンないで悪事を働く?」


「いいえ」


さらに、いくつかの質問をされたファシールは正直に答えた。


「いいわね。即答で全部正直に答えてくれたのは、『真偽官(しんぎかん)』をしていて初めてだわ」


セリナは心底嬉しそうにそう言い、アメリに向き直って、同じ質問を始めた。


-------------


「ふぅ...二人とも質問に答えてくれてありがとうね。二人ともオッケーよ。じゃ手続きを始めるからちょっと待っててね」


セリナは机の下から紙を取り出して何かを書き始めた。


「これを冒険者ギルドに持っていくと、お金を払わずに試験を受けることができるわ。しっかりと持って無くさないようにしてね」


セリナは冒険者ギルドへの紹介状のようなものを書きながらヴェルクに質問をする。


「───ところであなた、前にどこかで会ったことがないかしら?」


「?...いや、そんな覚えはないけど」


「そう?気のせいかしら。どこかで見たことがあると思うんだけど」


セリナは首を傾げながらも書類を書いていく。


「よし!これでいいわ。無くさないようにしっかりと持っていくのよ」


そう言いながら、セリナは書類をファシールとアメリに手渡す。


「「あ、ありがとうございます!」」


二人は頭を下げてお礼をした。


「ふふっ、お礼はいいのよ?二人とも試験頑張ってね」


「「はい!」」


ファシールとアメリは勢いよく返事をした。


「「お邪魔しました!」」


二人は元気良くセリナに返事をし、部屋を後にした。


-------------


三人は門番の男に冒険者ギルドまでの道を教えてもらい、その道順を辿って冒険者ギルドへと訪れた。


「し、失礼しま〜す」

「たっのも〜」


アメリがゆっくりと冒険者ギルドの扉を開けようとしていると、ファシールが勢いよく開け放ち、

中にいた冒険者達が扉に視線を送る。


扉のすぐそばにいた巨漢の冒険者が仲間との談笑を切り上げ、ファシール達に近づいてくる。その顔を見ると、盗賊をしていたヴェルクよりも盗賊らしい悪人顔であった。冒険者の男は二人の目の前まで歩いていき、


「お前達、見ねぇ顔だなぁ?冒険者か?」


と、二人に質問する。


「ぼ、冒険者じゃねぇけど...それがなんだよ」


冒険者の男の質問に対して、ファシールは少し身構えながら答える。


「ほぅ、二人とも冒険者じゃねぇのか...冒険者試験の受付はあっちの隅の方だぜ。がんばれよぉ!」


男は受付の場所を指でさした後、「ハッハッハッ」と笑いながら仲間達と合流し、談笑を再開した。


「な、なんだったんだ?」

「さ、さぁ?」


二人は少し戸惑いながらも、男が指をさした受付まで移動を開始した。


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