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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part79 ダンジョン・四層目 圧縮の応用

アメリは2体のソルジャー・アントの相手をしながら、隙を見つけてはスレイブ・アントの数を減らしていた。


「まったく...切りが無いわね」


アメリは愚痴をこぼしながらもその動きを止めることはない。


もし動きを止めたなら、無数のスレイブ・アントに包囲され、対処が困難になってしまうのだろう。


「キシャ~~!!」


スレイブ・アントと比較して先端が尖っている顎を持つソルジャー・アントが威嚇しながら顎を突き刺すようにアメリに突進する。


「『光系統刀系魔術(ライトスラッシュ)』『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』」


アメリは突進してくるソルジャー・アントの顎に向けて『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』で圧縮した『光系統刀系魔術(ライトスラッシュ)』を放つ。


光系統創造系魔術ライトコンプレッション』で圧縮した『光系統刀系魔術(ライトスラッシュ)』はソルジャー・アントの右顎に直撃し、その衝撃に思わず動きを止める。


「うそでしょ~~」


しかし、『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』で圧縮した『光系統刀系魔術(ライトスラッシュ)』が直撃した右顎は切断どころか欠けた様子すらも見せない。


アメリは面倒くさそうに言いながら、すぐそばにいたスレイブ・アントの首を細剣で切断する。


「となると、関節か柔らかそうなお腹が弱点なのかしら?」


直後、アメリに襲い掛かろうとしたスレイブ・アントの脚の節と腹を細剣で切り裂いて、アメリは確信したように頷く。


「やっぱりね」


そう呟いたアメリは先ほど突進してきたソルジャー・アントに向けて走り出す。


「『水系統纏系魔術(ウォーターオーラ)』」


髪が深い青に染まったアメリは『水系統纏系魔術(ウォーターオーラ)』で身体能力を強化する。


「キシャ〜〜!!」


それに呼応するようにソルジャー・アントは雄叫びのような声を出してアメリの方に駆け出す。


アメリは先ほどとは違い魔術で足止めするそぶりを見せず、ソルジャー・アントに向かってタイミングを見計らうように移動する。


「ここ!『(かえ)()り』」


ソルジャー・アントの突き刺すように先端が尖った顎を突き出す攻撃を既の所で右に回避し、そのままの勢いでソルジャー・アントの腹を切り裂く。


「~~~!!」


ソルジャー・アントは腹を切り裂かれた痛みに甲高い悲鳴を上げる。


「『二連閃(にれんせん)』『(かぶと)()り』」


アメリは即座に振り返り、ソルジャー・アントが怯んでいる隙に『二連閃(にれんせん)』でソルジャー・アントの左足2本を斬り飛して、ソルジャー・アントの移動を事前に阻止する。


そして、動けなくなったソルジャー・アントの首を『(かぶと)()り』で正確に切り落とした。


その直後、


「ギシャーー!!!」


と、ファシールが戦っているキャプテン・アントの悲鳴が聞こえる。


「よし!あと一体ってあれ?どこに──」


瞬間、アメリの背後から刃と刃が擦り合うような音が聞こえる。


アメリは咄嗟に前に転がるように回避する。


「いっ~~!」


それでも間に合わなかったようで、アメリの左足のひざ下が少し切られている。


「『光系統纏系魔術(ライトオーラ)』『光系統単体回復魔術(ヒール)』『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』」


アメリは一瞬痛みに怯んだものの、即座に意識を切り替えて、『光系統纏系魔術(ライトオーラ)』で回復力の補強をし、『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』で圧縮して回復力を高めた『光系統単体回復魔術(ヒール)』で直そうとする。


だが、ソルジャー・アントの追撃を察知したアメリはすぐに回復を止めて、深い青と煌びやかな黄色が入り混じる髪をたなびかせながら転がるように移動してソルジャー・アントの追撃を回避する。


回復を中断したせいで、止血はできているが完全に傷を直すことができなかったようで、アメリは重心を右に寄せて立っている。


「ふぅ~~」


アメリは足の痛みを無視するためか、それともソルジャー・アントの対処に集中するためか、深く息を吐く。


ソルジャー・アントはというと、唐突にアメリの髪色が変化したことに警戒をしているようだ。


しかし、少し時間が経過しても何も起こらないことから、ただの虚仮威しと判断したのかアメリに向かって再び突進しだす。


アメリはそんなソルジャー・アントの動きを少し観察し、


「『水系統球系魔術(ウォーターボール)』『水系統創造系魔術ウォーターコンプレッション』」


ソルジャー・アント以上の大きさの『水系統球系魔術(ウォーターボール)』を一滴ほどの大きさまで『水系統創造系魔術ウォーターコンプレッション』で圧縮する。


だが、アメリはその『水系統球系魔術(ウォーターボール)』をソルジャー・アントに向けて放つわけでもなくその場に留める。


辺りにはソルジャー・アントの足音が響く。


スレイブ・アントはいつの間にかアメリとソルジャー・アントの周囲から姿を消していた。


ソルジャー・アントはそんなことに気づいたそぶりはなく、鋭利な顎を大きく開いて挟み込もうとアメリに近づいて行く。


アメリは足の怪我ゆえに大きく回避ができないと判断したのか、一体目のソルジャー・アントと同じように直前で回避する。


その時に『水系統創造系魔術ウォーターコンプレッション』で圧縮した『水系統球系魔術(ウォーターボール)』をソルジャー・アントの口の中に放り込む。


すると、唐突にソルジャー・アントの頭が破裂する。


「私の『圧縮(あっしゅく)』は威力だけじゃなく、大きさをも『圧縮(あっしゅく)』するわ」


唐突に、アメリは誰に聞かせるでもなく呟きだす。


「『水系統纏系魔術(ウォーターオーラ)』で補強してもあんな大きさの『水系統球系魔術(ウォーターボール)』を雫の大きさまで『圧縮(あっしゅく)』するのは私の今の実力じゃギリギリ──少し私の注意が『圧縮(あっしゅく)』から逸れれば『圧縮(あっしゅく)』を維持し続けることはできないわ」


そう言い終わり、アメリは周囲を見渡す。


すると、キャプテン・アントがファシールとスレイブ・アントの戦闘を観戦している姿を見つける。


「ちゃっちゃと回復して、ファシールに加勢しないとね。『光系統単体回復魔術(ヒール)』『光系統創造系魔術ライトコンプレッション』」


そう言って、アメリは自分の足を急速に回復させるのだった。

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