Part74 ダンジョン・四層目 アリの正体
今回は不意打ちを受けることなくアリのモンスターを発見したファシールとアメリは奇襲を仕掛けるべくアリのモンスターに近づいていく。
「前回襲ってきた奴らより一回りくらい小さいように見えるけど、取り合えず『下位鑑定』しておくか...『下位鑑定術』」
スレイブ・アント 基礎Lv7
暗視眼Lv7
アント系モンスターの中で最弱であり、群れの中での扱いも酷い
スレイブ・アント 基礎Lv9
基礎攻撃力小上昇Lv9
アント系モンスターの中で最弱であり、群れの中での扱いも酷い
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スレイブ・アント 基礎Lv8
基礎速度小上昇Lv8
アント系モンスターの中で最弱であり、群れの中での扱いも酷い
「・・・数が多いな。──前にアメリが言ってたことが現実味を帯びてきたな」
ファシールは余りのモンスターの多さに、ため息交じりに言う。
「私も本気で言ってたわけじゃないんだけどね。何体くらいる?」
そう言いながら、アメリは苦笑いする。
呑気に会話しているように聞こえるが、決して二人が油断しているわけではない。
前回に奇襲を仕掛けられたこともあり、いつも以上に周囲に気を配っている。
「全部で40体くらいだな。2層のスライムと比べて数自体は少ないけど、スライムとは違って『光系統範囲回復系魔術』で一掃できないから、こっちの方がきつそうだな」
そう言いながら、ファシールは冷静に敵の戦力を分析する。
「よし、作戦はこうだ。俺の『炎系統竜巻系魔術』で先制攻撃して、残ったスレイブ・アントを槍と細剣で倒す。これでいいよな」
ファシールはスレイブ・アントを掃討する作戦をアメリに伝える。
「えぇ、この後の事を考えると、魔力の消費を抑えておきたいし、それで問題ないわ。訓練の成果を見せてやるんだから!」
アメリはアリの模型で苦手を克服した成果を見せつけると言う。
「はいはい、じゃあ放つぞ。『炎系統竜巻系魔術』」
アメリを適当にあしらいつつ、ファシールは『炎系統竜巻系魔術』をスレイブ・アントの集団の中心に放つ。
「ギシャーー!!」と、スレイブ・アントの悲鳴が聞こえる。
しかし、ファシールの『炎系統竜巻系魔術』によって一瞬で灰になったのか、今では悲鳴ではなくスレイブ・アントが顎をカチカチと鳴らして威嚇する音が響く。
「よし、行くぞアメリ」
「えぇ」
『炎系統竜巻系魔術』の範囲から逃れていたスレイブ・アントは徒党を組んで二人に襲い掛かる。
しかし、
「『横薙ぎ』」
「『回し斬り』」
ファシールとアメリはスレイブ・アントの攻撃を受けることなく、スキルを使って向かってくるものから切り伏せていく。
斬って、突いて、スレイブ・アントを倒していく。
すでに、その数は50を超えていた。
「『二連閃』──もう!本当に多いわね!倒しても倒してもキリがないわ!」
アメリがスレイブ・アントの数に文句を言っているのを聞いたファシールは周囲の倒れているスレイブ・アントの数をざっと見る
「おかしい、スレイブ・アントの数が最初に見た時よりも増えてる──『突進突』」
ファシールはスレイブ・アントの数が異常であることに気付いたのだろう。
ファシールがそう呟いたと思ったら、『突進突』の加速を利用してアメリの下へ移動する。
「アメリ、撤退するぞ。スレイブ・アントの総数が最初の倍以上になってる」
ファシールはアメリに撤退することを伝える。
「撤退ね?分かったわ。私が『光系統刀系魔術』で道を切り開くから、ファシールは私の後についてきてね」
アメリはファシールが撤退すると言ってすぐさまそう答える。
「じゃあ、いくわよ!『光系統刀系魔術』」
ファシールの返事を聞くよりも早く『光系統刀系魔術』をスレイブ・アントに向けて放つ。
アメリの放った『光系統刀系魔術』はスレイブ・アントを悠々と切断していく。
「こんなことなら、初めから使ってればよかったわ」
あまりの『光系統刀系魔術』の効果に、アメリは走りながらにスレイブ・アントとの戦いで使っていればよかったと愚痴をこぼす。
「そんなこと言ってる暇があったら足を動かせ!足を」
アメリが呑気に愚痴をこぼしているのを聞いてファシールは口ではなく足を動かせと叱咤する。
「・・・しゃっ!これくらい距離があればいいか。『炎系統壁系魔術』」
ファシールは自分達とスレイブ・アントの間に十分な距離があることを確認して、『炎系統壁系魔術』を放つ。
先頭を走っていたスレイブ・アントは突然目の前に現れた『炎系統壁系魔術』を避けることができずに突っ込んで焼かれてしまう。
その後、2人はスレイブ・アントの追跡を免れ、三層目と四層目の間の広場に逆戻りするのだった。




