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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part73 ダンジョン・四層目 克服への道

木箱の中にひしめき合うムシの模型を見て気絶したアメリをファシールは天幕まで運び、アメリの母であるナターシャから渡された木箱の中からアリを探し出して、他の模型は木箱に仕舞う。


木箱を再びカバンにしまい、ファシールはアメリが起きてからの事を考えるのだった。


-------------


「はっ!」


アメリが起きたのは、ファシールが昼食を取ろうと準備を始めたときだった。


「おっ!起きたか、アメリ」


昼食の準備を中断し、ファシールはアメリに歩み寄る。


「え、えぇ、おはよう、ファシール。何だか悪い夢を見てたみたい」


アメリはファシールの顔を見て安心したのか、そう言ってファシールに話しかける。


しかし、違和感を感じたのか、アメリはファシールの足元を注視する。


そこには木で精巧に造られたアリの模型が鎮座していた。


アメリがそれに気付き、目を見開いて硬直する。


ファシールもアメリの視線の先にアリの模型がある事には気付いているようだが、アメリに何も言わない。


アメリは硬直し、ファシールは無言を貫く。


その結果、静寂が二人のいる広間を支配する。


その静寂を破ったのは硬直が解けたアメリだった。


「・・・・・・・・・・・・ファシール、それ、なに?」


何故かカタコト口調になっているアメリにファシールは


「これはナターシャおばさんから預かってた物だ」


と、答える。


それに続けて、


「タイタ村から出発する前日にナターシャおばさんから木箱ごと渡されてよ。「これでアメリの苦手なムシを克服させてといてくれ」って言われてたんだよ」


と、アリの模型を拾いながら説明する。


そのまま、アメリの方へ歩いて行き、模型を手渡す。


ファシールからアリの模型を受け取ったアメリは傍目から見ても分かるほどに鳥肌が立っていた。


「あれだけ大見え切ったんだから、これだけでへこたれるなよ」


「あ、当たり前よ」


そう言ったアメリは引き攣った顔をしていたのだった。


-------------


その後、アメリは訓練として、アリの模型を肌身離さず持つようになった。


その間、ファシールとアメリは四層目へ向かうのではなく、三層目のボスであるオルダートレントと戦ったり、各々の自主訓練をしたりして過ごしていた。


そのおかげか、克服を試みてから三日目の今では飯のすぐそばにアリの模型が置かれていても、躊躇する事なく食事をするくらいにはアリに関して苦手を克服できている。


「これくらい克服できてるなら、アリのモンスター相手でも取り乱すことはないだろ」


ファシールの言葉にアメリは食事をしながら頷く。


ゴクン、と口に含んでるものを飲み込んだアメリは、


「そうね、すぐそばにアリの模型があっても、余り意識することはなくなってきたし、挑戦してみてもいいかもしれないわね」


と、ファシールの言葉を肯定する。


「じゃあ、明日また四層目に行ってみるか」


と、ファシールはアメリに提案する。


「えぇ」と、アメリはファシールの提案に賛同するのだった。


-------------


翌日、2人は四層目の密林の中を歩いていた。


「にしても、見つかんねぇな〜、ボス部屋に続く扉」


と、ファシールは呟く。


「ファシール、毎回そんなこと言ってない?」


アメリはファシールの呟気が聞こえていたようで、ファシールを揶揄うように言う。


「そうかぁ〜?っと、いたいた。あれだな」


気楽な様子だったファシールは集中した面持ちになる。


ファシールの視線の先には前に集団で襲ってきたアリのモンスターがいる。


「──ホントだ」


アメリもファシールの視線を辿ることで、その視線の先にいるアリのモンスターを見つけることができたようだ。


「やれるか、アメリ?」


ファシールは煽るようにアメリに言う。


「当り前よ!」


アメリは無い胸を張りファシールに言い放つのだった。

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