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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part70 ダンジョン・四層目 密林と異常

三層目のボスであるオルダートレントを倒したファシールとアメリは四層目へと続く階段を降り、三層目と四層目の間の広間に天幕を張るのだった。


「よし!これで一通り完成だな」


すでに何度も天幕を張っているファシールは慣れた様子で言う。


「そうね」


と、アメリは適当に相槌を打つ。


「それよりも」と、アメリは言葉を続ける。


「天幕が張れたんだから、さっさと四層目に行くわよ。まぁ、ファシールの出番はないと思うけどね」


と、アメリは薄い胸を張って言う。


どうやら、早く四層目で名誉挽回をしたいようだ。


「ほら行くわよ、ファシール」


アメリはファシールを急かしながら、四層目へ続く扉に近づいて行く。


「分かったよ」


ファシールは渋々といった様子でアメリについて行く。


「じゃあ、行くわよ!」


そう言って勢いよく開けた扉の先には三層目と同じ森林──いや、三層目よりも鬱蒼とした様子の密林が広がっていたのだった。


-------------


ファシールとアメリは躊躇なく四層目に足を踏み入れる。


「また森かぁ〜」


何処となく気だるそうにファシールは言う。


それでも、きちんと周囲を確認しているのか、少し歩きながら、


「というか三層目の森よりも草の背が高いな...またスライムみたいな小さいモンスターだと、倒すのに苦労しそうだな、アメリ」


と、アメリに話しかける。


「そうね...それと、周りを見た感じここって森の中よね。三層目のボス部屋からまっすぐ下に降りてきた事を考えたら、森の中心と思った方がいいのかしら」


アメリは四層目の入り口が四層目の中心地なのでは無いかと推測する。


アメリの推測を聞いたファシールは腕を頭の後ろに組んで「そうかもなぁ〜」と呟く。


しかし、今の会話に何処か違和感があったのか、ファシールは少し難しい顔をする。


結局、結論は出なかったのか、ファシールはふとアメリの方を見る。


数瞬過ぎた後、ファシールの顔は驚愕の色に染まる。


そんなファシールの様子にアメリはファシールが何を見たのかを確認するために後ろに振り返る。


そこには、自分たちが出てきた扉とその扉を隠すように生えている木があるだけだった。


「ちょっとファシール、何に驚いてるのよ!」


アメリはファシールの肩を揺らしながら言う。


はっ!とした顔をした後、ファシールはブルブルと少し頭を横に振る。


「アメリ、ちゃんとよく見てみろ。俺たちは上から降りてきただろ」


ファシールが扉の方に指を差しながら言う。


「それがどうしたのよ」


アメリはファシールが何を言いたいのがいまいち掴むことができず、そう言いながらファシールが指差す方を見る。


ここで、アメリも違和感を感じ取り、動きが止まる。


「気付いたか、アメリ。そこの扉の上には『何も無い』」


そう言うファシールの指の先には木に囲まれた扉がポツンと存在するだけだった。


-------------


結論から言ってしまえば、ファシールが指差した扉の先は三層目と四層目の間の広間に繋がっており、階段を登れば三層目のボス部屋まで戻ることができた。


その事実に二人は安心し、ただただ四層目の密林の中から三層目と四層目を繋ぐ階段を囲う壁が見えないだけだと考えた。


それを確かめるためにファシールが扉の外から『炎系統球系魔術(ファイアーボール)』を扉の上に向けて放つ。


しかし、『炎系統球系魔術(ファイアーボール)』は何かに当たることはなく、扉の上を通り過ぎた。


二人は驚愕し、最終的に三層目と四層目を繋ぐ階段は見えないし触れない物だという事で落ち着いた。


しかし、ダンジョンという事を鑑みてもこれは明らかな異常という事で、四層目の攻略が終わったらヴェルミリアに尋ねてみようという事になった。


その後、二人は周囲を探索するも、モンスターとは出会うことがなかったため、四層目の攻略を一旦止めて三層目と四層目の間の広間で休息を取るのだった。

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