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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part57 ダンジョン・第二層 大群

スライムと何度か遭遇するも、アメリの『光系統単体回復系魔術(ヒール)』によって、核を破壊していく。


「『光系統単体回復系魔術(ヒール)』がスライムに効くってことがわかってからは楽々進めるようになったな」


ファシールが呑気に言う。


「そんなこと言ってないで、ちゃんと周囲を警戒しなさいよ」


そんなファシールの様子を見たアメリは、ファシールに周囲を警戒するように注意を促す。


「分かってるよ。流石にそんなに油断してないぜ」


アメリの注意をファシールは素直に受け止める。


「それにしても、ボス部屋が見つからねぇなぁ〜」


ファシールはキョロキョロと周囲を見渡しながら言う。


「そうねぇ。一層目ならもう辿り着いている頃かしら?そう考えると、どこかでボス部屋を見逃したか、一層目とは比較にならないほどに二層目が広いのか...」


ファシールの言葉にアメリは頭をフル回転して考えているようだ。


その後、二回ほどスライムを倒し、ダンジョンの奥へ進んでいると、


「うげ、スライムの大群...回り道とかってあったか?」


ファシールはスライムの大群と戦うには分が悪いと考えたのか、アメリに回り道があったのかを尋ねる。


しかし、


「無いわよ、ファシール。だってあの大群のすぐ近くにボス部屋らしき扉があるもの」


アメリはスライムの大群の奥を指差しながら言う。


そこには一層目でも見たボス部屋へ続く扉がスライムの大群の奥に存在していた。


「まじか…どうする、アメリ?このまま、スライムがあの扉の近くから離れるまで待つか?」


ファシールの問いにアメリはフルフルと頭を横に振る。


「たぶん無駄よ。あの数のスライムが集まるなんて、スライムが引き寄せられる何かがある以外考えられないわ」


「だよなぁ〜」


気怠そうにファシールはアメリの考えに賛同する。


「・・・なぁ、アメリ。『光系統単体回復系魔術(ヒール)』がスライムに対して効果があるなら、『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』も効果があるんじゃないか?」


閃いたといった様子でファシールはアメリに言う。


「それは私も考えたわ。でも、私の『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』じゃあんな大群のスライムを全て範囲に収めるなんて無理よ。できたとしても三割が限界だと思うわ」


アメリも一考はしていたようだが、一度でスライムの大群を殲滅することはできないだろうと言う。


「うーん...三割も削れるならいいんじゃないか?三回撃ち込んだら後は俺でも対処できると思うぞ」


三回撃ち込めばいいと言うファシールを見てアメリはため息を吐く。


「・・・ファシール、ボスと戦いたいんでしょ?」


ピタッとファシールの動きが止まる。


「い、いや別にそう言うわけじゃないんだけど、これ以上スライムが集まる前に倒しておいた方がいいと思うし、それに...」


「もういいわよ」


「はい」


アメリは早口で捲し立てるファシールを静止する。


「まぁ、ファシールの言い分もわからないわけじゃ無いわ。確かにこれ以上スライムが集まると対処し切るのは難しい...取り敢えず、あそこに居る他のスライムよりも大きいスライムの鑑定をしてから考えましょ?」


アメリは他の個体よりも大きいスライムに指をさしていきながら言う。


「確かにアイツら、他のスライムよりもデカいな。『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』」


ビック・スライム 基礎Lv17

魔力触覚(まりょくしょっかく)Lv1 魔力視覚(まりょくしかく)Lv1

本体は半透明で薄い青色の粘性の高い半固形の物質の中に存在しており、平均的な大きさは直径60cm、高さ40cmほどであり核は直径10cmほどの球である。


ビック・スライム 基礎Lv14

魔力触覚(まりょくしょっかく)Lv1 魔力聴覚(まりょくちょうかく)Lv1

本体は半透明で薄い青色の粘性の高い半固形の物質の中に存在しており、平均的な大きさは直径60cm、高さ40cmほどであり核は直径10cmほどの球である。


ビック・スライム 基礎Lv23

魔力触覚(まりょくしょっかく)Lv1 魔力視覚(まりょくしかく)Lv1

本体は半透明で薄い青色の粘性の高い半固形の物質の中に存在しており、平均的な大きさは直径60cm、高さ40cmほどであり核は直径10cmほどの球である。


「デカいスライムは全部ビック・スライムらしい。にしても...ヴェルミリアさんが言ってたように、こいつらもスライムから進化したのかな?」


ファシールはビック・スライムの情報をアメリに伝えた後にヴェルミリアの話を思い返していた。


「分からないわ。実際に進化をするところを見た人はいないって話なんだし。それよりもファシール、『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』を放つには溜めが必要よ。それまでちゃんとスライムの対処はできるの?」


アメリはファシールに尋ねる。


「あぁ、大丈夫だ」


アメリの問いにファシールは自信たっぷりに答える。


「そう。ならいいわ。じゃあ、まずは基礎Lvの低いビック・スライムを巻き込んで『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』をするわよ。いいわね?」


「あぁ、頼む」


「いくわよ!『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』」


アメリの放った『光系統範囲回復系魔術(エリアヒール)』は最も基礎Lvの低いビック・スライムを中心に周囲のスライムの核を破裂させていく。


そして、ビック・スライムの核も破裂させる。


「やったわ!」


「こっからだぞ、アメリ」


弾んだような声を出すアメリに対してファシールは注意をする。


こうして、スライムの大群を殲滅する戦いが始まったのであった。

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