Part56 ダンジョン・第二層 訓練の成果
ヴェルミリアとアリシアの訓練を終えたファシールとアメリはダンジョンの一層目でボスを倒したらボスを含めた一層目のモンスターの基礎Lvが下がったと報告し、原因を知らないかと尋ねたが、二人とも原因を知らず、情報を得ることはできなかった。
その後、ヴェルクが泊まっている宿で一泊し、食糧や塩を補充して再びプレフォロン大森林のダンジョンへと訪れていた。
「うっし!勝ったな」
「3回目ともなると流石に慣れてきたわね」
二人は一層目のボスであるゴブリン・リーダーとコボルト・リーダーを手慣れた手つきで倒し、そう言い合う。
その後、ボス達の魔石を回収した二人は二層目へと進んでいく。
螺旋状の階段を降りながら、ファシールは「そういえば」と話し始める。
「ヴェルミリアさんの訓練で言ってた「スライムの核は魔術をくらうと破裂する」ってやつさ、アメリの『光系統単体回復系魔術』でもいけんのかな?」
「さぁ?攻撃魔術じゃないから無理だと思うけど...」
ファシールの疑問に対して、アメリは否定的に答える。
「一回試してみようぜ。『光系統単体回復系魔術』で倒せたら楽になるしな」
と、ファシールは食い下がるように言う。
「まぁ、試してみてダメだったら別の攻撃をするわ」
ファシールの様子を見て、アメリが折れて「試してみる」と言う。
そう話していると、二層目に続く扉に到着する。
「じゃあ、まずは扉を少し開けて中を見てみるぞ」
そう言って、ファシールは二層目に続く慎重に扉を開ける。
「・・・いないな。行くぞ」
ファシールが扉を開けて中へ入って行き、アメリがファシールの後に続く。
「取り敢えず、今日は二層目のボス部屋を見つけるとこまではいきたいわね」
周囲を探索しながらアメリは言う。
「そうだな。ま、ボスを『下位鑑定』して倒せそうなら倒そうぜ」
「そうねぇ。依頼の期間が長いとはいえ、どれくらい時間がかかるか分からないわ。時間の短縮という意味でも賛成よ」
ファシールの気楽な言葉にアメリは賛成する。
「あれ、いつものアメリならあんまり気乗りしないような提案だったのに」
アメリの賛成が意外だったのか、ファシールは暗に「どうかしたのか?」と言う。
「別に、さっきも言ったように時間が心配なだけよ」
アメリは「なんでもない」とファシールに言う。
その後、周囲を警戒しなら探索していると、
「あら、スライムがいたわよ」
アメリがスライムを見つけたようだ。
「分かった。まずは『下位鑑定』するぞ。『下位鑑定術』」
スライム 基礎Lv11
魔力触覚Lv1
本体は半透明で薄い青色の粘性の高い半固形の物質の中に存在しており、平均的な大きさは直径30cm、高さ20cmほどであり核は直径5cmほどの球である。
「やっぱり、一層目よりも基礎Lvが低いな。結局、ボスを倒したら一層目のモンスターの基礎Lvが下がった原因も分からずじまいだったし、なんだったんだ?」
ファシールはスライムの情報をアメリに伝え、一層目での現象を再び疑問に思ったのか口に出す。
「分からないわ。私たちよりも長く冒険者をしているヴェルミリアさんやアリシアさんでも「そんな現象は知らない」って口を揃えて言うくらいだから、このダンジョン特有の現象なのかもね」
「それよりも」とアメリは続けて言う。
「さっき言ってた、「スライムに『光系統単体回復系魔術』は効くのか」ってやつを試すわよ」
「あぁ、頼む」
ファシールはアメリに『光系統単体回復系魔術』をスライムに使うように頼む。
「いくわよ!『光系統単体回復系魔術』」
スライムに『光系統単体回復系魔術』がかかった瞬間、「パンッ」とスライムの核が破裂した。
「うぉ〜〜〜!成功だ!」
スライムの核が破裂するのを見たファシールは興奮したように言う。
一方、『光系統単体回復系魔術』を使ったアメリは、
「うそっ...本当に『光系統単体回復系魔術』でスライムを倒せるなんて」
と、呆然と呟くだけだった。
その後、ファシールとアメリは再びスライムに対して『光系統単体回復系魔術』を放ち、スライムの核が破裂することを確認する。
「『光系統単体回復系魔術』──本当に破裂してる...」
やはり、『光系統単体回復系魔術』でスライムを倒している実感がないのか、アメリは唖然とした様子でスライムの魔石を見つめる。
そんなアメリの様子とは別に、自分の予想が当たって嬉しいのか、ファシールの顔が笑顔で固定されている。
アメリはファシールの顔を見て、何か諦めを含むため息をし、
「まぁ、いいわ。どうしてスライムの核が破裂するかを考えても何かが判るわけでもないものね」
と呟く。
そんなアメリの様子を知ってか知らずか、
「じゃあ、次はボス部屋を見つけに行こうぜ」
と、ファシールは上機嫌な様子で言うのだった。




