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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
50/60

Part50 第二層へ

「お疲れ〜」

「お疲れ様」


そう言って、ゴブリン・リーダーとコボルト・リーダーから魔石を抜き取ったファシールとアメリは拳を軽くぶつけ合い、互いに労い合う。


「じゃ、ボスと戦う前に言ったように戻ってモンスターの基礎Lvが下がっているか確認しに行きますか」


「そうね」


ファシールの言葉にアメリは頷く。


そして、ボス部屋から出てモンスターを少し探していると、


「いたわ。ゴブリン3体よ」


「よし、じゃあ『下位(かい)鑑定(かんてい)』していきますか。『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』」


ゴブリン Lv13

基礎(きそ)速度(そくど)小上昇(しょうじょうしょう)Lv13 下位(かい)槍術(そうじゅつ)Lv3

8歳と同等の知能を有し、身長は120cm前後で茶色い毛の痩せたオオカミが二足歩行をしているような姿をしている。


ゴブリン Lv12

下位(かい)拳術(けんじゅつ)Lv2 暗視眼(あんしがん)Lv12

8歳と同等の知能を有し、身長は120cm前後で茶色い毛の痩せたオオカミが二足歩行をしているような姿をしている。


ゴブリン Lv14

基礎(きそ)魔力量(まりょくりょう)小上昇(しょうじょうしょう)Lv14 土属性魔術(つちぞくせいまじゅつ)Lv3

8歳と同等の知能を有し、身長は120cm前後で茶色い毛の痩せたオオカミが二足歩行をしているような姿をしている。


ファシールはゴブリン達を『下位(かい)鑑定(かんてい)』した結果をアメリに伝える。


「・・・下がってないわね」


「あぁ、ボスを倒すごとにモンスターが弱くなってるんじゃなくて、ボスを倒すまでモンスターが強くなっているってことか」


そう言ったファシールだったが、少し考えて当然の疑問を口にする。


「にしても、なんでボスを倒すまでモンスターが強いんだ?」


「さぁ?分からないわ。それに、本当にボスを倒すまでモンスターが強くなっているかもまだ分からないし。結論を焦ってはいけないわよ、ファシール」


諌めるように言うアメリにファシールは頷き、


「そうだな。まだ原因が分かったわけでも無いし、焦らずゆっくりと攻略していくか〜」


と、頭の後ろで腕を組みながら言うのだった。


-------------


3体のゴブリンを倒し終えた後、


「ねぇ、ファシール。さっき焦るなって言ったばっかだけどさ、二層目を覗いてみない?」


と、アメリはファシールに提案する。


「ん?まぁ、いいぜ。なんせ、モンスターが弱くなって余裕があるからな〜」


のんびりとした様子のファシールはアメリの提案を承諾する。


こうして、前日よりもモンスターが弱くなっていたからか、元気が有り余っていた2人は二層目を覗き見ることにしたようだ。


-------------


「ボス部屋に着いたはいいけど、モンスターが居ないな」


そう呟いたのはファシールだった。


「そうね。よくよく考えればダンジョンって謎だらけよねぇ〜。モンスターがどこから来るかも分からないし、どうやって生活しているのかしら?」


ファシールの呟きに反応したアメリがダンジョンの謎について考え始めてしまった。


そんなアメリの様子を見たファシールは、


「アメリ、ダンジョンの謎解きをするのもいいけど、今から二層目に行くんだから気を引き締めてくれよ」


と言って、アメリを揶揄うように注意する。


「はっ!え、えぇ、ごめんなさい。ちょっと考え込んじゃったわ」


ファシールに注意され、アメリは素直に謝る。


「じゃ、この話はこれくらいにして・・・二層目に行くぞ」


「えぇ」


一層目のボス部屋に入った扉とは異なる扉を開けると、そこには下へと続く大きな螺旋状の階段が現れたのだった。


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