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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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part5 ヴェルクによる戦闘訓練

ヴェルクはファシールとアメリの稽古の師範となった。とはいっても、週に2回の稽古という頻度の少なさに最初は簡単だと考えていたヴェルクだったが、「もし、ファシールやアメリの師範役として不十分と判断された場合、即死罪では?」と考え、今は少し後悔していた。


-------------


「では、始めるぞ。」


と、ヴェルクはファシールとアメリに向かっていう。


「まず最初に準備運動をする!体力がなければどれだけ強くても疲れて使い物にならないからな!」


ヴェルクは二人がなるべく疲れる様に、それっぽい理由と共に一周100mほどある稽古場の周りを10周する様に指示を出した。


「次は素振りだ!基本の型ができていないと応用の戦闘なんてできないからな!」


これもまた、二人が疲れる様にするためのヴェルクの策である。二人を20分ほど素振りさせ、


「そこまでだ。これで準備はおしまいだ。これから稽古をするたびに準備運動もキツくなっていくからな。さて、次は俺のスキルの『技能』なしでの双剣の攻撃の防御だ。複数の敵からの攻撃を防げる様になれば、そうそう死ぬことはないだろうからな。」


そう言いファシールから防御稽古が開始した。


「いくぞ!」


最初に右手の木剣を横に振るう。槍で受ければ、左手の木剣で肩に攻撃する。後ろに引けば、踏み込んで左手の木剣で突く。しゃがんでよければ、足で顔面を蹴り上げる。


ファシールの選択は槍での受けであった。

ヴェルクの想定通りに左手の木剣で肩を攻撃すると、


「いって〜」


ファシールがそうぼやきながら後ろに下がる。


「こら、今のが実戦なら死んでるぞ」


ヴェルクが注意し、またヴェルクは右手の木剣を横に振るう。なぜ、ヴェルクがファシールに対し簡単に攻撃を当てることができているのか。それは、死ぬ心配つまり、死の恐怖が付き纏っていないからである。ヴェルクは昔のトラウマから実戦になると動きがかたくなってしまうのだ。


その後、ファシールの防御稽古をこなしていき、次にアメリの防御稽古が開始された。


ヴェルクはファシールと同じ様に右手の木剣を横に振るう。


しかし、アメリの武器はヴェルクが戦ったことのない細剣(レイピア)である。さらに、アメリはファシールの防御稽古を見ていたので、ヴェルクの攻撃の仕方も大まかに理解しており、ヴェルクの攻撃は木剣の軌道をそらすことで簡単に受け流されてしまった。


そこで、ヴェルクは左手の木剣でアメリを突く、と思わせて1歩後ろへ下がる。


「ひゅ〜、よくやるぜ」


「ふん!あんまり舐めるんじゃないわよ」


アメリがヴェルクを挑発する。


ヴェルクはまた右手の木剣を振るう。ただし、その方向は縦であった。アメリはギリギリで避けるようにで後ろに下がり回避するも、ヴェルクは左手の木剣での突きがアメリの左肩に当たる。


「今のもちゃんと防いだらもっと褒めてやったんだがなぁ」


と、ヴェルクはアメリに挑発し返した。

アメリの額にうっすらと青い筋が見えた気がしたが気のせいだろう。


-------------


二人の防御稽古が終了し、


「よし、今日はここまでだな。次回以降の準備運動ははじめに行ったように、どんどん多くなっていくから、そこんとこよろしく」


と、ヴェルクが稽古の終了を宣言し、次回以降の稽古についての話をした。二人は納得していなさそうだったが、疲労が溜まっていたのか、そのまま頷いた。


こうして、初めての稽古が終了した。

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