Part49 ダンジョン・第1層 再戦
「よし!今日も今日とて頑張りますか!」
ファシールば元気よく言う。
「なんだかいつも同じこと言ってない?」
そんなファシールを見て、アメリは少し呆れたといった様子で呟く。
そんな気楽な様子で2回目のダンジョン攻略が始まった。
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「あら、コボルトが仲間といないなんて珍しいわね」
「そうだな...昨日の攻略開始時は大体のコボルトは基礎Lvが15以上って感じだったが、今日はどうかな?『下位鑑定術』」
コボルト Lv12
基礎速度小上昇Lv12 下位拳術Lv2
8歳と同等の知能を有し、身長は120cm前後で茶色い毛の痩せたオオカミが二足歩行をしているような姿をしている。
「う~ん。やっぱりボス倒してから徘徊しているモンスターの基礎Lvが低くなってる気がするんだよなぁ~」
ポリポリと頭を搔きながらファシールは呟く。
「まぁ、細かいことはいいじゃない。ボス部屋まで魔力を温存していけるって考えれば、モンスターが弱体化している方がいいしね」
アメリはファシールの呟きに答えるように言う。
「まっ!それもそうか」
アメリの言葉を聞いてファシールもモンスターの弱体化についての思考を放棄したようだ。
「じゃ、サクサクっと行こう!」
そういって、ファシールとアメリは内部へと進んで行くのだった。
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ボス部屋の扉を少し開けたファシールは、
「『下位鑑定術』」
コボルト・リーダー 基礎Lv26
下位拳術Lv10 爪刃術Lv1 超反応Lv4 猟犬脚Lv1
ゴブリン・リーダー 基礎Lv26
下位拳術Lv10 籠手術Lv1 打撃耐性Lv10 狂化Lv4
「まさか、本当にボスも基礎Lvが低くなってるとはな」
ボスの情報をアメリに伝えた後、ファシールは何かを考えながら言う。
「そうね、徘徊してるモンスターの基礎Lvの低下は高基礎Lvのモンスターを軒並み狩ってしまったからかと思ってたけれど...ボスモンスターもとなると、何かが起こっていると考えた方がいいわね」
流石にアメリも危機感を持ち始めたようだ。
「・・・なぁ、アメリ。取り敢えず、あいつらを倒したらダンジョンを一層目のモンスターを確認してもいいか?さらにモンスターの基礎Lvが下がっているのかを見たいんだ」
「えぇ、いいわよ」
ファシールの提案をアメリは即諾する。
「サンキュー!じゃあ、行くか!コボルト・リーダーは俺が対処するから、アメリはゴブリン・リーダーが狂化するまで抑えててくれ!」
「オッケー!」
短い作戦会議が終了した後、バンっとボス部屋の扉を開けて2人はボス部屋へと侵入する。
「お前の相手は俺がするぜ。『炎系統光線系魔術』」
「あんたは私よ!『光系統光線系魔術』」
こうして、ボス達との再戦が開始した。
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「グルゥラァァ!!」
雄叫びと共にゴブリン・リーダーが赤黒く変色していく。
「ファシール!ゴブリン・リーダーが『狂化』したわよ!」
「分かった。こっちに誘導してくれ!」
アメリはファシールの指示通りにゴブリン・リーダーを誘導する。
「やっぱり、前よりもスピードが落ちてるわね。これなら狙った場所に攻撃を当てれる。『光系統光線系魔術』」
アメリは『光系統光線系魔術』をゴブリン・リーダーの目に当てて動きを鈍らせる。
「来たわよ、ファシール」
ゴブリン・リーダーが『狂化』して以降、コボルト・リーダーを牽制し、動きを阻害していたファシールに言う。
「あぁ、後は任せろ」
そう言うと、ファシールはコボルト・リーダーが『 猟犬脚』で急加速し、『瞬撃』で攻撃してきたタイミングで、
「『瞬突』」
刃の様に鋭いコボルト・リーダーの爪を片方は弾き、そしてもう片方は往なして体勢を崩してゴブリン・リーダーの方へと弾き飛ばす。
飛んできたコボルト・リーダーに反応したゴブリン・リーダーが攻撃を加え、三つ巴の戦いへと縺れ込んでゆく。
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「『水系統竜巻系魔術』!」
コボルト・リーダーを盾にしつつ、ゴブリン・リーダーの『狂化』の効果が切れたタイミングでアメリが『水系統竜巻系魔術』で倒す。
今度は、1対1をすることなく、2人でコボルト・リーダーを討伐する。
こうして、2回目の戦いは特に苦戦することも無く終わったのだった。




