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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part46 ダンジョン・第1層 ファシール&アメリ vs コボルト・リーダー vs ゴブリン・リーダー

「あっぶねぇ!!『()(なが)し』!!」


アメリにゴブリン・リーダーの拳が当たる直前、炎を纏った槍でゴブリン・リーダーの拳を焼きながら『()(なが)し』で軌道を逸らす。


「ガルル」


コボルト・リーダーは戦闘に割り込んできたゴブリン・リーダーに文句を言うような声を漏らす。


「グルァアア!!」


瞬間、コボルト・リーダーの声を威嚇と受け取ったのか、赤黒くなったゴブリン・リーダーが雄叫びを上げながらコボルト・リーダーに襲いかかる。


「大丈夫か、アメリ?」


「えぇ、大丈夫よ」


水系統球系魔術(ウォーターボール)』で受け身を取っていたアメリは差し出されたファシールの手を取り立ち上がる。


「それにしてもなんなんだ、あのゴブリン・リーダーは?」


「分からないわ。互いに手詰まりの状況で急にあの状態になったから、ゴブリン・リーダーの奥の手だとは思うのだけれど...」


ファシールの疑問にアメリは自分の考えを返す。


「なるほど。じゃあ、『狂化(きょうか)』ってスキルが原因か?あのスキルだけは聞いたことがないんだよな」


そうファシールはゴブリン・リーダーの変化の原因を看破する。


「どうするのよ、ファシール?」


アメリはファシールに問う。


2人が会話をしている間に、ゴブリン・リーダーとコボルト・リーダーの争いはゴブリン・リーダーの猛攻をコボルト・リーダーがその驚異的な加速と反射神経で捌いていくという形で続いていた。


「このまま、どっちかが倒れるまで傍観しててもいいんだが...」


「それじゃ面白くないって言うんでしょ?」


ファシールは自分の言葉を言い当てられ少し笑う。


「あぁ。だが、この中で一番強いのは多分あの変色したゴブリン・リーダーだ。そこで、コボルト・リーダーに盾になってもらいつつ、ゴブリン・リーダーに攻撃を仕掛けるぞ 」


「はぁ!?」


アメリはファシールの無茶苦茶な作戦に驚き、ファシールの顔を見る。


「コボルト・リーダーは変色したゴブリン・リーダーの攻撃の回避で手一杯だ。片腕を焼いたから、俺たちに攻撃が飛んでくる事はないと思う。そして、コボルト・リーダーの背後から魔術を撃って俺たちに注目を集めてもコボルト・リーダーが邪魔で排除しようとする。そんでもって、コボルト・リーダーは攻撃を避けるから変色したゴブリン・リーダーの注目を再度集めるってなわけよ」


「・・・・・・そう言うことね、分かったわよ」


ファシールの細かい内容を聞いて、まあまあの間をおいてアメリはこの作戦を了承する。


「そんじゃ行きますか!あ。そうだ、アメリ。言い忘れてたんだけど、コボルト・リーダーが逃げ出そうとしたら『(ひかり)属性魔術(ぞくせいまじゅつ)』で妨害してくれよな!」


「あんたねぇ!そう言う事はさっきに言っておきなさいよ!」


こうして、コボルト・リーダーを盾にしながらゴブリン・リーダーを攻撃する作戦が決行される。


-------------


「『炎系統光線系魔術(ファイアーレーザー)』」

「『水系統刀系魔術(ウォータースラッシュ)』」


ファシールは速度重視の『炎系統光線系魔術(ファイアーレーザー)』で、アメリは攻撃力重視の『水系統刀系魔術(ウォータースラッシュ)』で変色したゴブリン・リーダーへ攻撃する。


しかし、


「おいおい、全然効いてる様には見えないんだが...」


「『水系統刀系魔術(ウォータースラッシュ)』でも少しの切り傷しかつけれないなんて...」


変色したゴブリン・リーダーはファシールたちが想像していたよりも堅かったようだ。


「グルァ!!」


変色したゴブリン・リーダーがアメリに向かって走り出す。


コボルト・リーダーは好機と見たのか急加速で離脱しようとするが、


「行かせないわ!『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』」


アメリの『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』によって動きが阻害され、またも変色したゴブリン・リーダーの攻撃を捌くことを強要される。


「ガルルッ」


悪態をつくように声を出すコボルト・リーダーの背後でファシールたちは次の作戦を練っていた。


「消耗戦だな。おっと、『炎系統球系魔術(ファイアーボール)』」


「そうね。こっちの攻撃がほとんど通らないから──あら、『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』──ゴブリン・リーダーの『狂化(きょうか)』のスキルの効果が切れるまで、コボルト・リーダーを援護するしかないわ」


ファシールとアメリは『炎系統球系魔術(ファイアーボール)』や『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』で変色したゴブリン・リーダーの動きを阻害しながら話し合う。


「グゥウルゥアア!!!」


突然、変色したゴブリン・リーダーは雄叫びを上げ、さらに攻撃が激しくなった。


「ガァラァア!!」


コボルト・リーダーは出し惜しみをしている場合ではないと悟ったのか『瞬撃(しゅんげき)』で変色したゴブリン・リーダーの攻撃を捌く。


しかし、ファシールに左腕を焼かれて単純に手数が減っていたコボルト・リーダーは変色したゴブリン・リーダーの攻撃を捌ききれずに遂には直撃してしまう。


コボルト・リーダーの体勢が崩れ、変色したゴブリン・リーダーの連撃を受けそうなところで、


「させねぇぜ!『炎系統槍系魔術(ファイアーランス)』」

「させないわ!『光系統刀系魔術(ライトスラッシュ)』」


ファシールたちが魔術で変色したゴブリン・リーダーの攻撃を妨害する。


そして、変色したゴブリン・リーダーの最後の足掻きだったのだろう。


攻撃を妨害された後、ゴブリン・リーダーの肌が元の緑色へと戻る。


「アメリ今だ!『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』」

「ええ!『水系統竜巻系魔術(ウォーターハリケーン)』」


ファシールとアメリが今放つことができる最大の攻撃をゴブリン・リーダーへと叩き込む。


こうして、ゴブリン・リーダーは討伐されたのだった。

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