表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
45/60

Part45 ダンジョン・第1層 ファシール&アメリ vs コボルト・リーダー&ゴブリン・リーダー

最初に衝突したのはファシールとコボルト・リーダーであった。


コボルト・リーダーの爪をファシールが槍で弾く。


「おっと、お前速いな。その速さはアメリと相性悪そうだが、俺とは相性良さそうだなぁ!」


一方、アメリとゴブリン・リーダーの戦いは片方がもう片方を蹂躙するというような戦いであった。


「『水系統刀系魔術(ウォータースラッシュ)』『光系統矢系魔術(ライトアロー)』」


アメリは『水系統刀系魔術(ウォータースラッシュ)』を餌にし、ゴブリン・リーダーが回避した先にある程度の速さと威力を兼ね備えた『光系統矢系魔術(ライトアロー)』を放ち、ゴブリン・リーダーに当てる。


「やっぱり、『水雹(すいひょう)(つえ)』使うと魔力の減りが好きない気がするわ」


なんて、戦い以外のことを考える余裕があるほどであった。


-------------


「オラ!『一突(ひとつき)』『炎系統刀系魔術(ファイアースラッシュ)』」


ファシールはアメリの魔術を釣り餌にして本命の魔術を当てる戦法を真似して攻撃を試みる。


「がる」


コボルト・リーダーから声が漏れたかと思うと急加速し、ファシールの『一突(ひとつき)』を回避、その後に認識外にあるはずの『炎系統刀系魔術(ファイアースラッシュ)』すらも避けてみせた。


「うわっと」


その勢いのままファシールの横腹を己の爪で貫こうとコボルト・リーダーが攻撃し、ファシールはコボルト・リーダーの攻撃を槍で往なしながらコボルト・リーダーから少し距離を取る。


切り返しに少し時間がかかったようだが、コボルト・リーダーはファシールに息つく間も与えないようにさらに攻撃を加える。


ファシールはコボルト・リーダーの攻撃をいなしながら違和感を感じていた。


コボルト・リーダーが己の動きにフェイントも含めてファシールの動き全てに反応しているのだ。


「ちょっとお前、色々速すぎるんじゃない?他のコボルトにない急加速は名前からして『猟犬脚(りょうけんきゃく)』だとして、その反応速度の原因は…『超反応(ちょうはんのう)』だな?」


他のコボルトにはない急加速をするコボルト・リーダーだが、異常なのはその反応速度であることをファシールは見抜いていた。


「つまり・・・反応できても、対処できない攻撃をすればいいわけだ」


ファシールは己の導き出した解決策を口に出し、そのイメージを固めていく。


「『炎系統纏系魔術(ファイアーオーラ)』──行くぜ!」


気合を入れファシールは全力でコボルト・リーダーに攻撃を加え始める。


「『炎系統壁系魔術(ファイアーウォール)』『突進(とっしん)()き』『瞬突(しゅんとつ)』」


コボルト・リーダーは自身の背後に発生した『炎系統壁系魔術(ファイアーウォール)』の熱を瞬時に感じ取り、ファシールがいる方向に向かって急加速する。


コボルト・リーダーの耳がピクリと動く。


おそらく、ファシールの髪が赤く染まっていることに気がついたのだろう。


ただ、警戒はするも攻撃を止める気はないようだ。


コボルト・リーダーが『突進撃(とっしんげき)』でさらに加速し、『瞬撃(しゅんげき)』でファシールに殴りかかる。


「『炎系統創造系魔術ファイアーアーマメント』!」


瞬間、ファシールが握る槍に炎が燃え広がる。


コボルト・リーダーの『瞬撃(しゅんげき)』を『炎系統創造系魔術ファイアーアーマメント』によって炎を纏った槍で受ける。


「グルァァアァ!」


コボルト・リーダーは己の拳が高熱の炎に焼かれた痛みに思わず悲鳴を上げる。


「思った通りだぜ!急加速できても急停止は出来ねぇようだな!『瞬突(しゅんとつ)』」


ファシールは炎を纏ったまま『瞬突(しゅんとつ)』でコボルト・リーダーに追撃を仕掛けるが、


「ファシール!避けなさい!」


突如乱入してきたアメリと変色したゴブリン・リーダーによって、コボルト・リーダーへの追撃が妨害された。


-------------


ファシールが互角の戦いをしている間、初めは余裕のあったアメリもゴブリン・リーダーを削りきれずに焦っていた。


「『水系統槍系魔術(ウォーターランス)』『光系統槍系魔術(ライトランス)』」


魔力を込め、大きくした『水系統槍系魔術(ウォーターランス)』と『光系統槍系魔術(ライトランス)』をゴブリン・リーダーに向かって放つ。


しかし、『水系統槍系魔術(ウォーターランス)』をゴブリン・リーダーは『突進撃(とっしんげき)』の加速を用いて回避し、『光系統槍系魔術(ライトランス)』を籠手弾きながらアメリに向かって走る。


「『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』」


アメリは『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』を放ち、ゴブリン・リーダーの移動を妨害する。


「大きい攻撃じゃ当たらない、光線系の魔術じゃ大したダメージにならない。このままじゃ、良くて相打ち、悪ければ魔力切れで負けちゃうかも知れないわね。ただ、そう感じているのはゴブリン・リーダーも同じ…どう出るのかしら」


そう口に出すことで焦りを抑制しながら冷静に戦いの状況を分析する。


そうこうしているうちにゴブリン・リーダーの様子が変化していく。


緑色の肌は暗い赤色へと変化していき、口からは涎が垂れだす。


「グルゥラァアァ!!」


今まで声すら発していなかったゴブリン・リーダーはまるで正気を失ったかのように雄叫びを上げる。


「うっそ、なにそ!?『水系統竜巻系魔術(ウォーターハリケーン)』!」


アメリは自身が使える最大火力でゴブリン・リーダーに攻撃するも、


「グラァ」


水系統竜巻系魔術(ウォーターハリケーン)』を籠手で切り裂くように突き破り、アメリに攻撃を仕掛ける。


咄嗟に腰から細剣と抜き防御するも、その衝撃を受け流せずにファシールとコボルト・リーダーの方へ吹き飛ばされる。


水系統球系魔術(ウォーターボール)』で受け身を取ろうとして吹き飛んでいる方向を確認するとファシールが目に入り叫ぶ。


「ファシール!避けなさい!」


そう叫んだ後、ゴブリン・リーダーの動向を確認しようとしたアメリの眼前にはそのゴブリン・リーダーの拳が迫っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ