Part43 プレフォロン大森林のダンジョンへ
「お前ら、ちゃんと必要なものは持ったか?」
「だからもう確認したって!」
「これで何回目よ、もう」
ファシールとアメリがダンジョンに向けて出発するまでの間、ヴェルクがあまりにしつこく持ち物などの確認をするので2人ともうんざりとした様子でヴェルクに返事をしていた。
「本当か?水はアメリがいるからなんとかなるが、食料や毛布なんかも必要だぞ?本当に持ってるか?」
「「はぁ〜」」
まだ不安が拭えないヴェルクとそんなヴェルクに辟易したといった様子の2人に冒険者ギルドの受付嬢であるアリシアが近づく。
「ヴェルクさんは心配性ですね。この2人なら大丈夫ですよ。なんたって、ロード級のゴブリンを討伐しているんですから。それでは頑張って来てください!それと、ギルド長とヴェルミリアさんが「見送れず、すまん」と謝っていましたよ」
そう言って笑い、2人の緊張をほぐす。
「ふふふ、元気付けてくれてありがとうございます。アリシアさん」
「気楽に行ってくるぜ」
アメリとファシールがそう返事をした後、2人が乗っているプレフォロン大森林行きの馬車が発進した。
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2人が乗った馬車がプレフォロン大森林の近くに到着した。
馬車から降りたファシールとアメリは「うーん」と声を漏らしながら体をほぐしていく。
「流石に何回も馬車に乗ってたら、ちょっとは慣れると思ったんだがなぁ〜」
「まだ10回も乗ってないわよ?慣れるにはまだまだ時間が要るんじゃないかしら?もしかしたら、一生慣れることはないかもしれないけどね」
体をほぐし終えた2人は装備の確認をしながら和気藹々と会話する。
「よし、一通り確認し終えたな。それじゃ、ダンジョンまで歩いて行くか」
「確か、ヴェルミリアさんが目印をつけてくれているはずだから、それを頼りに行きましょう」
「おーー!」
「ふふふ、なんだか気の抜ける返事ね」
ファシールの気の抜けた返事を聞いたアメリはリラックスした様子でに笑う。
そうして、2人はプレフォロン大森林の内部へと歩み始めた。
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「ファシール!そっち!」
「オッケー!『炎系統光線系魔術』」
「ギャンッ」っと悲鳴をあげ、ハイコボルトは倒れた。
ハイコボルトが死んだことを確認した2人は周囲のコボルトやハイコボルトの死体から魔石を抜き取りながら会話をする。
「なんか、コボルト系が多くないか?」
「そうねぇ。大量のゴブリンがいなくなって、コボルトの縄張りが広くなったのかしら」
ファシールの疑問にアメリが自身の考察を述べる。
「確かに、ゴブリン大討伐で大量に倒したしな」
ファシールは納得したようにうんうんと首を縦に振る。
「それにしても、ダンジョンまで遠いなぁ。ヴェルミリアさんの話じゃ1時間くらいで着くらしいんだけど・・・」
魔石を全て抜き取った後、コボルトの死骸を燃やして破棄したファシールはそう呟く。
「・・・それってヴェルミリアさんが全速力で走ってってことなんじゃないかしら」
「・・・ま、まさかなぁ」
「そ、そうよね。それだと5,6時間はかかっちゃうものね」
「あはは」という2人の乾いた笑い声が広がる。
「行くか」
「えぇ」
2人は現実逃避を終了し、ダンジョンに向けて再び歩み出した。
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「つ、ついた」
「ふぅ、遠かったわね」
疲労が溜まった様子の2人はヴェルミリアとセドリックが見つけたダンジョンに到着した。
「本当に4時間歩くことになるとは思わなかったわ」
もはや吹っ切れた様子でアメリが言う。
「そうだな。まぁ、取り敢えずアリシアさんたちから渡された移動式簡易拠点を組み立てようぜ」
ファシールは移動式簡易拠点を組み立てる準備をしながら言う。
「分かったわ」
アメリも組み立てに協力し、ものの10分で組み立てが完了したのだった。
「じゃあ、今日は休憩して明日からダンジョン探索を始めるわよ!」
「おー!」
アメリの宣言にファシールが合いの手を入れる。
とは言っても、まだ日が暮れる時間でもなかったので各々で訓練して時間を潰し夜を明かす。
いよいよ、ダンジョン探索が始まる。




