表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
37/60

Part37 情報

「『水雹(すいひょう)(つえ)』を選びおったか。どれ、わしがちゃんと性能を見てやろう『中位鑑定術』」


セドリックがアメリの持つ『水雹(すいひょう)(つえ)』を『中位(ちゅうい)鑑定術(かんていじゅつ)』で鑑定する。


「ふむ、なるほどのう。ちと待っておれ。鑑定結果を紙に書いて渡すのでの」


そう言ってセドリックは自室に向かって走って行った。


「それにしてもすごいっス!この弓だってきっとすごい弓っス」


弓の区画で吟味しながら弓を見ていたスーリルがファシールに「鑑定して」と暗に頼む。


「仕方ねぇな。『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』」


───────────────


狩人(かりうど)(ゆみ)


基礎攻撃力:+100

耐久値:800

特殊能力:動物へのダメージが10%上昇する。


───────────────


「なんだか微妙な性能っス。私には見る目がなかったんスかね」


ファシールから鑑定結果を伝えられスーリルは微妙だと残念がる。


「そんなことないダスよ。動物限定とはいえ、1本のやではギリギリ倒せない相手を倒すことができるんダスから、きっと強い弓ダス!」


ダンジェスはスーリルに良いところもあると伝える。


「それもそうっスね!やっぱり私は見る目があったっス」


そうしてやいのやいのと会話をしていると、武具庫の扉が開く。


そこから現れたのは、


「やあ、アメリくんの選ぶ武具は決まったかな?決まっているんだったら、申し訳ないんだけどもう一度応接間に行くよ。紹介状と情報を渡さなきゃいけないからね」


-------------


「往復させてすまないね。あぁ、これがバリー氏への紹介状だよ。期限は無いからいい素材が手に入った時にでもこの紙に記されている場所に行って紹介状を渡してね」


そう言って、アベルはヴェルミリアとファシールに紹介状を渡す。


「おう!」

「ありがとうございます」


ヴェルミリアは返事を、ファシールは礼をアベルに返す。


「さて、次は特別褒賞とは別件でね。君たちに直接知らせておきたい事があるんだ」


アベルは真剣な顔つきで話し始める。


「実は──プレフォロン大森林にダンジョンが発生していたんだ。そうですよね、ヴェルミリア殿」


「あぁ、事実だ。私とセドリックがロード級のゴブリンを捜索しているときに見つけた。ゴブリン・キングが急に発生したのもダンジョンと関係があると見て間違い無いだろう。なにしろ、ダンジョンは何が起きても不思議では無いからな」


アベルの確認にヴェルミリアは正確に答えていく。


「ゴブリン・キングを生み出すほどのダンジョンなら、最低でも中位以上の冒険者、下手したら上位冒険者でやっと攻略ができるといった難易度かもしれない」


「やっぱりか。お父様と同じ結論であるところを見るとそれが妥当な評価なのだろう」


ヴェルミリアの評価にアベルは顔を顰める。


「それでも調査は必要だ。取り敢えずダンジョンの周囲に強力なモンスターがいないことを確認しないと、プレフォロン大森林内でしか達成できないような依頼が軒並みできなくなってしまうかもしれない」


アベルは真面目な口調でファシールたちに話を聞かせる。


「そこでロード級を4人で仕留めた君たちに、冒険者ギルド経由で指名依頼を出したい。これに関しては強制では無いよ。もし、嫌ならここで断ってくれても構わない。ここなら外聞を気にしなくて良いからね」


アベルはファシール達に問う。


ファシールとアメリは顔を見合わせる。


それだけで2人の意思は決まったようだ。


「「受けます」」


ファシールとアメリはアベルを真っ直ぐに見ながら答える。


「私には無理っス。ゴブリン・アーチャー・ロードを倒せたのだってファシールさん達のお陰で...私にはロード級のゴブリンに傷を入れることだってできなかったっス。だから、ごめんなさいっス」


「オラもできないダス。ゴブリン・アーチャー・ロードの攻撃を防ぐので精一杯だったダス。だから、オラも受けることはできないダス」


スーリルとダンジェスは己の無力さを説明し、指名依頼を辞退した。


「そうか、わかったよ。じゃあ、ファシールくんとアメリくんが指名依頼を受けるってことでいいかな?」


「「はい!」」


アベルはスーリルとダンジェスに追求することはなく、ファシールとアメリに最終確認をする。


「じゃあ、2人にお願いするね」


すると、ダンと音を立てて応接間の扉が開く。


「戻るなら先に言って欲しかったのぅ」


セドリックはそう文句を言いながらもアメリに紙を手渡す。


「これが、『水雹(すいひょう)(つえ)』の鑑定結果じゃ」


紙を受け取ったアメリはその内容を確認する。


───────────────


水雹(すいひょう)(つえ)


基礎攻撃力:+50

耐久値:2000

特殊能力:水属性・氷属性の魔術を使用したときに耐久値を回復する。また、水属性・氷属性の魔術のダメージが50%上昇する。


───────────────


「なにこれ...すごい。本当に貰っていいんですか?」


アメリは本当に『水雹(すいひょう)(つえ)』を貰ってもいいのかとアベルに問う。


「もちろんだとも!これはロード級のゴブリンを倒したことに対する褒賞なんだからね。遠慮することはないよ」


「分かりました。ありがとうございます」


遠慮しなくても良いとアベルに言われて、アメリは礼を返すのだった。


アメリが正式に『水雹(すいひょう)(つえ)』を受け取った後、セドリックに稽古を付けてもらったり夕食を共にしたりした。食後には、ファシール達はゴブリン大討伐での話をサリオン家の末弟であるアレクに話したりして過ごした。


翌日、サリオン家に泊めてもらったことにお礼を言い、歩いて冒険者ギルドまで行くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ