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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
36/61

Part36 選択

「さあ、どれを選ぶ?」


両手を広げて興奮したようにファシール達の選択を待つ。


「これ、そう選択を急かすでないぞ、アベル。お主らはゆっくりと考えてよいぞ。自分が後悔しない選択をするのじゃ」


セドリックはアベルを諫めてファシール達に熟考するように促す。


すると、


「よし!私はバリー氏への紹介状をもらおう!」


ヴェルミリアは立ち上がってそんなことを言う。


「わかりました、ヴェルミリア殿。すぐに用意させていただきますね」


アベルはヴェルミリアに丁寧に返事をする。


「私も決めたっス!やっぱりおいしいご飯が食べたいからお金っス!100,000フランツをもらうっス!」


「いい素材は持てないダスし、この斧を手放す気はないダスから、オラもお金にするダス」


スーリルとダンジェスは各々の理由からお金を選択した。


「いいね、やっぱりご飯はおいしい方がいいし、思い入れのあるものは手放したくないからね」


アベルは2人の選択を肯定する。


「そうね、なら私は武具にするわ。やっぱり、性能のいい杖の方が少ない魔力で魔術を放てるようだし使ってみたいのよね」


アメリは武具を選択した。


「確かに魔術を使うものにとって魔力の節約は必須だからね」


アベルはアメリの選択に対して首を縦に振りながら肯定する。


「う~ん、じゃあ俺は3つ目の紹介状をもらうぜ。今はまだいい素材なんで持ってないけど、これから冒険者をやっていったらいい素材とも巡り合えるだろ。だから俺は紹介状にするぜ」


ファシールはバリー氏への紹介状を選択した。


「なるほど、冒険者をしていってその先で得られる素材で武器を作るんだね」


アベルはファシールの選択の理由に関心する。


パンッと手を叩いたアベルは、


「それじゃあ、みんなの選択は決まったようだね。私はバリー氏への紹介状を書いてくるから、その間に持っていく武具を選んでおいてね」


と言って、グイッと紅茶を飲み干した後に応接間から出て行った。


「それでは、武具庫まで案内いたします。ほかの皆様も見学のみであれば可能ですがどうなさいますか?」


ランベリックの問いに全員が見学する意思を見せ、全員で武具庫まで移動することになった。


-------------


「ここがサリオン家の武具庫にございます」


そう言ってランベリックの紹介したのはいたって普通の扉だった。


しかし、扉を開くとそこには、


「うぉ~~!すっげぇ~!」

「すごいっス!なんだかよく分からないっスけど、業物だっていうことはわかるっス」


ファシールとスーリルが目を見開く程の武具の数々が保管されていた。


「アメリ様は杖をお望みでしたね?でしたら、こちらに保管されているものをご覧になるのがよろしいでしょう」


ランベリックは杖を多く保管している区画へとアメリを案内する。


「ありがとうございます、ランベリックさん」


アメリはランベリックに礼を伝えると早速といった様子で杖の大きさや持ち運びのしやすさなどを次々に確認していく。


「う~ん、どっちの杖にしようかしら?」


アメリは杖を選んでいき、最後の2つまで絞りはしたが、どちらの杖にしようか悩んでいた。


「どっちにするんだ、アメリ?」


どっちらを選ぶか決めかねているアメリにファシールは問いかける。


「そうねぇ、ファシールはどっちがいいと思う?『水属性魔術(みずぞくせいまじゅつ)』を効率よく使うことができる『水雹(すいひょう)(つえ)』と回復系の魔術の出力を上げてくれる『光霊(こうれい)(つえ)』で悩んでるんだけど」


そう言って、保管するときに記された杖の情報をファシールに伝えながらどちらが良いかファシールの意見を聞こうとする。


「おっしゃ!任せろ!『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』」



───────────────


鑑定に失敗しました。


───────────────


「あれ?じゃあこっちは?『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』」


水雹(すいひょう)(つえ)』の『下位(かい)鑑定(かんてい)』に失敗したファシールは少し慌てて『光霊(こうれい)(つえ)』を『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』で鑑定する。


───────────────


光霊(こうれい)(つえ)


基礎攻撃力:+20

耐久値:900

特殊能力:回復系の魔術の効果を50%上昇させる。


───────────────


「う~ん、こっちは見えた。けど、『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』が失敗するなんて初めてだなぁ。どういうことだ?」


ファシールが『水雹(すいひょう)(つえ)』の鑑定に失敗した原因をうんうんと頭をひねって考えていると、


「ほっほっほ、つい最近、王都の研究所で発表されたことなんじゃが、『下位(かい)鑑定術(かんていじゅつ)』では中位相当のアイテムまでしか鑑定できないらしいのじゃ。つまり、その『水雹(すいひょう)(つえ)』は上位以上のアイテムというわけじゃな」


「──アメリ、どうする?」


「そうね、ここは・・・『水雹(すいひょう)(つえ)』にするわ。どんな性能かは分からないけど、なんだか私、この杖を選んだ方がいいと思うのよね」


こうして、アメリは『水雹(すいひょう)(つえ)』をもらい受けることになった。

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