part3 ファシール＆アメリ vs 双頭盗賊団首領
双頭盗賊団の首領であるヴェルクはすぐさま行動に移った。
「死ね...！」
ファシールは間一髪でヴェルクの右手の剣と自分の体の間に槍を滑り込ませることで、ヴェルクの攻撃を防ぐ。
「テメェ！」
「なにすんのよ！『水系統光線系魔術』」
瞬間、アメリは『水系統光線系魔術』をヴェルクに放った。が、ヴェルクはその攻撃を左の剣で受け、アメリの方を見る。
「チッ、お前も魔術使えんのかよ。うっとうしいな。」
ヴェルクはファシールのことを後回しにし、アメリに向かって攻撃を仕掛けようとした。
しかし、
「お前の相手はこっちだろ！『炎系統球系魔術』」
「ウォッ！」
ファシールによる『炎系統球系魔術』がヴェルクの左肩に命中し少し怯む。
「お前もかよ！」
ヴェルクは悪態を付きながらもどちらを先に殺すかを考えていた。ヴェルクが出した結論は、「女を人質にするか殺して、男の方のスキを突き逃げる。」というものであった。
「てめぇから殺してやるぜ！『突進斬り』、からのいっ─「『暗然』」」
アメリの放った『暗然』によってアメリの周囲が暗くなり見えなくなっていく。
「『闇属性魔術』だとっ！やられた！」
正確には、少しでも魔力があれば誰でも使うことができる『生活魔術』であり、同じ『生活魔術』である『陽光』を使えばすぐに見えるようになるのだが、焦っていたヴェルクは思いつかない。
そして、
「『光系統矢系魔術』」
ヴェルクはとっさに顔に向かってきている『光系統矢系魔術』を避けるが、足に向かって放たれていた魔術は避けることはできず、左足に鋭い痛みが走る。
「いってぇ！クソ！魔術なんて卑怯だぞ！」
そう、ヴェルクは吐き捨てるように言う。
「うるさいわね。大体、あんたが先に攻撃を仕掛けてきたのが悪いんでしょ！」
「じゃあ、俺と１対１でやるか？」
「はぁ？あんた何言って…」
ヴェルクは2体1よりも勝ち目があるだろうと考え、
「そうさせてもらうぜ」
勝負を受けた。
「アメリは手を出すなよ〜」
「はぁ、しょうがないわねぇ」
「１対１で戦いたい」というファシールの考えに呆れながら返事をするアメリの様子を少し見た後、ヴェルクは息を整え攻撃を開始した。
「『飛翔斬』からの『飛翔斬』！」
ヴェルクは自身が扱える唯一の遠距離攻撃である『飛翔斬』を左右の剣で交互に放つ。
ヴェルクの放った不可視の斬撃に対するファシールの答えは、
「『炎系統壁系魔術』」
「──ッ！なにぃ！？」
ファシールは『炎系統壁系魔術』で不可視の斬撃が通る場所を把握し回避、
「こうするんだよっ！『炎系統光線系魔術』」
「うぉっ」
ヴェルクは『炎系統壁系魔術』から突如出現した『炎系統光線系魔術』に一瞬怯む。
一方、ファシールは『炎系統光線系魔術』を放った直後にヴェルクに向かって駆け出していた。
「喰らえ！」
ファシールが槍を突く。だが、
「待ってたぜ！『回し斬り』からの『二連閃』」
『炎系統光線系魔術』を身体を逸らすことで躱していたヴェルクはファシールの直接攻撃を予想しており、攻撃に合わせて渾身の技を振るう。
「きた！」
ファシールはヴェルクの左の剣による『回し斬り』を屈んで避け、そして
「『受け流し』！」
ヴェルクの右手の剣で放たれた『二連閃』の一撃目をそらすことで無防備な状態になったヴェルクの喉に向けて、
「『二連突』！」
石突の方で攻撃しヴェルクを気絶させた。
