Part26 ゴブリン大討伐 ・ 接敵
「では、出撃!」
「「「おぉ!」」」
ヴェルミリアの号令と共に冒険者たちがプレフォロン大森林に向かって進んでいく。
その中でファシールは即席パーティを組んだ相手と改めて作戦を共有する。
「じゃあ、俺がゴブリンと直接戦い、スーリル牽制しながら、隙を見てアメリが魔法で攻撃。そして、その二人を守るのがダンジェスってことでいいな?、」
「わ、分かったダス」
「了解っス」
ダンジェスとスーリルがファシールに返事をする。
ダンジェスとスーリルはファシールとアメリがプレフォロン大森林で共闘した冒険者であり、ダンジェスは斧を持った男の冒険者、ス-リルは弓を持った白い兎型の獣人の女の冒険者である。
「それはいいけど、どうやってゴブリンを探すの、ファシール?」
アメリがファシールに問う。
「案はない!が、とりあえず、俺たちが出会った場所まで移動してから考えようぜ」
無策のファシールに対していつものことかとでも言うようなため息を吐いたアメリも別に良い案を持っているわけでもないのでファシールの考えに追従する。
「じゃあ出発!」
「おぉ~」
「なんだかノリが軽いっス」
「ダス」
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「では、ワシはヴェルミリアとゴブリン・キングを伸してくるから、レオニスとはここでお別れじゃ」
「わかりました。ご武運を」
「いくぞ、セドリック。前と同じで遅れた奴を引きずっていくやつでいいよな?『操血系統創造魔術』」
「いやっ、ワシ結構体にガタがき──」
ヴェルミリアがセドリックの意見を無視して走り出し、セドリックは腕についた『操血系統創造魔術』に引っ張られて行った後に、レオニスも兵たちを連れてプレフォロン大森林に向けて移動を始めた。
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少し時間が経った後、ヴェルミリアはセドリックを引きずりながらもプレフォロン大森林の中心部に向かって走っていると、
「スンスン...この醜悪な臭いは──見つけた、ゴブリン・キング」
そう言ったヴェルミリアは『操血系統創造魔術』を解除して、セドリックを自由にする。
「セドリック、ゴブリン・キングを見つけた。戦闘準備だ。あとお前、『中位鑑定術』が使えたよな?それで、あいつの能力を見てくれ」
「相変わらずの人使いの粗さじゃのう。どれ、『中位鑑定術』」
ゴブリン・キング 基礎Lv20
下位拳術Lv10 魔術拳Lv10 拳王Lv2 物理攻撃耐性Lv10 暗視眼Lv100
とても優れたの知能を有し、身長は300cm前後、巨大な筋肉質の体つきをしている。
ゴブリン・キング1体とゴブリン・ロード3体、ゴブリン・リーダー級のゴブリン12体、ハイゴブリン級のゴブリン40体、ゴブリン200体の大隊を形成し、そのリーダーとなる。
「なるほどのぉ...奴は拳に特化しているゴブリン・キングじゃな」
セドリックが拳をグッと握りながらヴェルミリアに鑑定の結果を伝える。
「なるほどな。では、セドリックが前衛、私が後衛ってことでいいな?」
「そうじゃのう~まあそれでよいわい」
そう言いながらセドリックは背中に携えていた己の聖剣──聖剣と言うにはいささか大きすぎるが──を手に取った。
「『操血系統創造系魔術』…いくぞ」
「おうともさ」
二人はゴブリン・キングに向かって駆け出した。
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セドリック達がゴブリン・キングとの戦闘を開始するのと同時刻、レオニスの前に一体の巨大なゴブリンとレオニスと同じくらいの背丈のあるゴブリン2体が現れた。
「ふむ、あれがロード級のゴブリンだな、『下位鑑定術』」
ゴブリン・ファイター・ロード 基礎Lv19
下位剣術Lv10 長剣術Lv5歩兵術Lv10 暗視眼Lv100
18歳と同等の知能を有し、身長は180cm前後、筋肉質でありながらしなやかなな体つきをしている。
ゴブリン・ファイター 基礎Lv25
下位剣術Lv9 盾術Lv9 遠視眼Lv79
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
ファイア・ゴブリン・メイジ 基礎Lv21
炎属性魔術Lv9 炎属性魔術耐性Lv9 暗視眼Lv73
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
「なるほど、バランスの取れたパーティだ。並の冒険者ではコイツらに狩られてしまうだろうな。だが...私たちが遅れをとることはない。ヴォテロン、ゴブリン・ファイター・ロードは私がやる。他のゴブリンを近づけさせるな」
「はっ!」
こうして、各地で戦闘開始の銅鑼が鳴る。




