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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part25 ゴブリン大討伐 ・ 反撃の狼煙

「領主アベル・サリオンの命により、ゴブリン大討伐に参加します」


レオニスが言い放った言葉に誰もが驚きの表情をあらわにしていた。


なぜなら、プレフォロン大森林へ向かう途中の馬車でヴェルミリアとファシールがしていた会話の中で来ないであろうと結論付けられていた援軍が到来したからだ。


「ふん!なぜ今更になって参加するのだ?最初からその予定であったのであれば、他の冒険者に代わってお前に一撃ぶち込まないと私の気が済まないぞ、セドリック」


ヴェルミリアがレオニスの言葉を聞いてセドリックに問いただす。


「ある男に頼まれたのじゃよ、ヴェルミリア。ワシらサリオン家は奴に借りがあるのでな。その借りを返すためじゃ」


「その男とは誰だ?」


「すまんが、言うことはできない。奴はもうサリオン家と関わりがないとはいえ、ワシは奴の情報を渡すほど薄情者でもないのでな」


怒気を孕んだヴェルミリアの言葉にセドリックは冷静に答えるが、男の正体は隠そうとする。


そんなセドリックに対して、ヴェルミリアは苛立ちを募らせるが、一呼吸置くことで冷静さを取り戻した。


「すまない。少し取り乱してしまった。この話は後にして、今はゴブリン・キングの討伐を優先しよう。セドリック、そこの少年と兵士たちはどれくらい使い物になる?」


「そうじゃのぉ、レオニスなら相性次第ではロード級を一人で討伐できるじゃろうなぁ。兵士たちは一人一人はリーダー級に少し劣るくらいじゃが、連携さえ取れれば10人ほどでロード級一体を抑えることぐらいは可能じゃの」


セドリックはヴェルミリアに答える。


「なんで兵士より強いんだと言いたいところだが...まぁ、お前の孫だからなぁ」


ヴェルミリアは若干呆れたように言いながらもゴブリン大討伐の作戦の修正案を思案する。


「よし!まとまった。状況が変わったので修正した作戦を伝えるぞ」


ヴェルミリアが冒険者に向き直り修正した作戦を伝える。


「まず、ゴブリン・キングだが対処は私とそこにいる『剣聖(けんせい)』がする。ゴブリン・キングが複数体いた場合でも対処が可能だ」


ヴェルミリアの言った『剣聖(けんせい)』という言葉に冒険者たちは騒然とするが、ヴェルミリアに睨まれ静かになる。


「次にロード級の対処だが、これは先ほど言った中位冒険者または同等の力を持つ冒険者に担当してもらうのに加え、そこの少年と5人ほどの兵士にも担当してもらう。残りはここの防衛と、逃げ出したゴブリンの殲滅だ。なお、2体以上のロード級のゴブリンと接敵した場合、上空に球系の魔術を放ってくれ。この合図に気付いた者はすぐに助けに入るように。この作戦に異論のあるものは?」


「レオニス様の護衛部隊隊長ヴォテロン・シャルマイリアです。なぜ、5人だけ同行させるのか、訳をうかがっていもよろしいですか?」


ヴォテロン・シャルマイリアと名乗った人物がヴェルミリアに質問する。


「うむ。ヴォテロン殿もわかっているとは思うが、それでは他の兵が納得しないか...」


そう呟いた後、


「それについてはセドリックの評価を基にした判断だ。正直、ないとは思うがこちらにロード級のゴブリンが襲撃をかけてきても討伐できる戦力。そして、そこの少年と相性の悪いロード級のゴブリンでも倒せるであろう戦力に分けるためだ」


ヴェルミリアは凛とした態度でヴォテロンの質問に答えた。


「なるほど、それは失礼しました。」


ヴェルミリアの解答に満足したかのようにヴォテロンは頭を下げた。


「他にはいるか?───いないようだな。では、各自準備に取り掛かれ!万全とはいかずとも最良の状態にしておくのだ!」


ヴェルミリアが言い、冒険者たちは準備を始めた。


-------------


ヴェルミリアは冒険者たちが準備を開始したことを確認し、セドリックのところへ訪れた。


「で、ちゃんと話してくれるんだろうな」


そう言いながら、ヴェルミリアがセドリックに迫る。


「ほっほほ、さっきも言ったようにこればっかりは昔から縁のあるおぬしにも言うことはできんのじゃ」


おどけた様子だったセドリックの顔が引き締まる。


「それは、3年前の事件に関することだからか?」


「すまんが…その質問にも答えることはできん」


ヴェルミリアの質問にやはりセドリックは答えない。


「はぁ。まあいい、セドリックも少しは休んでおけ。後、お前の孫も何やら張りつめているようだから休ませておけよ」


そう言って、ヴェルミリアは去っていった。


「アレク...いや、大丈夫じゃ。ワシに任せておれ」


セドリックの呟きは誰にも届かない。

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