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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part24 ゴブリン大討伐 ・ 援軍

「つまり、言ってしまえば──この戦いゴブリン・キングを倒せばいいだけだ」


そう言い放ったヴェルミリアは早速といったように行動を開始した。


「君たちはこの森からでてすぐにある『土系統壁系魔術(アースウォール)』でできた拠点内にいる冒険者に知らせてくれ。「今回のボスはゴブリン・キングである。私が拠点に合流して1時間後に討伐に向かうので各々準備をするように」と。私はこれからこの森にいる冒険者に指示を出すからここでお別れだ。『操血系統纏系魔術(ブラッドオーラ)』──では!」


「ちょっちょと待っ」


4人は『操血系統纏系魔術(ブラッドオーラ)』で身体能力を向上させることで超高速で移動したヴェルミリアを止めることができずに見送った。


「私たち...あの人の消耗を抑えるために来たのに・・・」

「俺たちいるか?」


ため息をつきながらアメリが言い、ファシールが賛同した。その後、4人は森を脱出し、仮拠点内の他の冒険者にヴェルミリアの指示を伝えていった。


-------------


それから少し時間が経った後、ヴェルミリアが仮拠点に帰還してきた。大きな血の箱を持って。


「『(ひかり)属性魔術(ぞくせいまじゅつ)』の回復系の魔術を使える奴はすぐに集まれ!負傷者を連れ帰ってきた!」


そう言うと、ヴェルミリアが持っていた血の箱がただの血に変化し、その中にはファシールやアメリと同じ馬車に乗っていた冒険者や、領都サリオンで見かけたことのある冒険者、一度も見たことのない冒険者など、多くの冒険者が姿を現した。


「きゃー」

「まずい!みんな血だらけだ!いったいプレフォロン大森林に何がいたっていうんだ」

「こんな血の量じゃ魔術だけじゃ足りないかもしれない!誰か大量にポーションを持っている奴はいないか⁉︎」


ヴェルミリアの血の箱を見ていない冒険者たちは血の箱から血に戻った時に冒険者たちにかかった血を見て、混乱してしまった。


その後、混乱していた冒険者たちは大量の血の原因がヴェルミリアの能力であることを見ていた周囲の冒険者たちが説明し、落ち着きを取り戻した。


そして冒険者たちの回復系の魔術によって、ヴェルミリアが連れ帰ってきた冒険者の治療が完了した。


-------------


いまだに意識を取り戻さない冒険者と見張り役の冒険者以外の冒険者を集めてヴェルミリアを筆頭にゴブリン大討伐の作戦を練り直していた。


「今回のゴブリンの大量発生の原因はゴブリン・キングだ。このことを念頭に置いて作戦を煮詰めていくぞ」


ヴェルミリアはファシール達にした説明をほかの冒険者にもし、作戦を決めていく。


「まず、私はゴブリン・キングとの戦闘でほかの冒険者の手助けはできないだろう。よって、ゴブリンの集落に突撃する冒険者は中位冒険者以上か、それと同等の力を持つもののみだ。そして、下位冒険者諸君には、この仮拠点の防衛と逃げ出してきたゴブリンの数を少しでも減らしてもらいたい。この作戦に異論のあるものは、挙手してほしい」


ヴェルミリアの作戦を聞いて、ファシールが手を挙げた。


「ヴェルミリアさん。もし、ゴブリン・キングが複数いた場合はどうするんですか?」


「ふむ、確かにゴブリン・キングがいた場合は私では対処しきれないな」


どうしたものか、ヴェルミリアが悩んでいると、


「た、大変です!」


そう言いながら見張り役の男の冒険者が転がり込んできた。


「む!?どうし...いや見たらわかる。おい、セドリック。お前何でここにいるんだ?」


そうヴェルミリアが声をかけた先には、大剣を背に担いだおじいさんがいた。


「そう言うでない、ヴェルミリア。ワシはお前さんたちを助けに来たのじゃぞ」


「その気色悪い口調を辞めろ!!前に合った時は、そんな口調じゃなかっただろ!」


「なんだとぉ!お前だって、前はもっとおしとやかな口調だっただろ!」


そう二人が言い合っていると、


「セドリックおじい様、言い合いはこれくらいにして下さい」


「おぉすまんな、レオニス」


レオニスと呼ばれた青年に口喧嘩を止められてもなお睨み合っているセドリックとヴェルミリアの雰囲気にあてられレオニスの後ろにいる20人ほどの騎士のような人たちが緊張した面持ちになる。


「セドリックおじい様、目的を間違えないでください。今回の目的はゴブリン大発生の原因を排除することです」


ため息を吐きながらセドリックと呼ばれたおじいさんを少し叱り、レオニスという青年は自己紹介を始めた。


「はじめまして、私はレオニス・サリオン、こちらはセドリック・サリオンです。領主アベル・サリオンの命により、ゴブリン大討伐に参加します」

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