Part22 ゴブリン大討伐 ・ 撤退戦
ゴブリン・ファイターの攻撃を避けた後、ファシールは反撃を試みるもウィンド・ゴブリン・メイジの『風系統矢系魔術』によって、動きが阻害される。
「クソッ!うざったいなぁ。『炎系統光線系魔術』...チッ」
ウィンド・ゴブリン・メイジに『炎系統光線系魔術』で攻撃するもゴブリン・ソルジャーの斧で防がれてしまう。
瞬間、ゴブリン・ファイターが『突進撃』を使いファシールに襲いかかる。さらに、その後ろからゴブリン・ソルジャーが『二連閃』を放とうとしていた。
ファシールはゴブリン・ファイターの『突進撃』を槍で受けながら衝撃で後ろへ退がり、ゴブリン・ソルジャーの『二連閃』の攻撃範囲から逃れる。
「『横薙ぎ』」
ファシールは槍のリーチを活かし、『横薙ぎ』でゴブリン・ファイターとゴブリン・ソルジャーに同時に攻撃する。
しかし、ゴブリン・ファイターは『横薙ぎ』を姿勢を低くすることで回避し、懐へと潜り込む。
しかし、ウィンド・ゴブリン・メイジが『風系統槍系魔術』を放ち、ファシールの『炎系統壁系魔術』に穴を開け、ゴブリンたちはファシールの後を追う。
「クソ!穴なんて開けれんのかよ!」
「ファシール!『暗然』を連発してかく乱するわよ!あなた達、『暗然』は使える?」
「使えるっス」
「オデも使えるダス」
四人は走りながら『暗然』を放つタイミングをうかがう。
そして、分かれ道のタイミングで、
「今よ!」
「「「「『暗然』」」」」
四人は一斉に『暗然』を背後に放つ。
ゴブリンたちは突如現れた暗闇に驚き、その場で立ち止まった。
四人は背後を確認せずにひたすらに走り、プレフォロン大森林から抜け出すことができなかった。
プレフォロン大森林を抜け出す直前、前を走っていた斧を持った冒険者の男が転倒したのだ。
「ぐぁ...い、痛いダス」
「おい!大丈夫か?」
ファシールが男に近寄ると、男の足の甲は矢によって地面と縫い付けられていた。
「なに⁉︎まずい!二人とも‼︎弓を扱う敵がいる!その場からすぐにはな...ぐぅ」
危険に気付いたファシールは二人に注意を促そうとしていると左の太ももに矢が突き刺さる。
「ファシール‼︎」
「クソッ──そこだな!『下位鑑定術』」
悲鳴に近い声でアメリがファシールを呼ぶ中、ファシールは攻撃してきた相手に『下位鑑定術』を使う。
ゴブリン・アーチャー・ロード 基礎Lv19
基礎攻撃力小上昇Lv100 基礎攻撃力中上昇Lv22 下位弓術Lv10 短弓術Lv5 暗視眼Lv100
18歳と同等の知能を有し、身長は180cm前後、筋肉質でありながらしなやかなな体つきをしている。
「ロード級だと...アメリ!そいつ連れて逃げろ!コイツは俺が食い止める‼︎」
「ファシール!あんた何言ってんの⁉︎みんなで逃げるの──きゃあ」
ファシールがアメリに逃げるよう指示し、アメリが食い下がろうとしているとウィンド・ゴブリン・メイジの『風系統槍系魔術』を背中に受けバランスを崩す。
先ほどのゴブリンたちは『暗然』を回り込むことで回避し、ファシールたちを追いかけてきたようだ。
「ま、まずいっス。こうならやけっス!『二連射』」
弓を持った冒険者の女が『二連射』をウィンド・ゴブリン・メイジに放つもゴブリン・ソルジャーたちによって弾かれてしまう。
「万事休すっス」
冒険者の女は万策尽きた可能ように項垂れる。
そして、無情にも血の雨が降った。




