Part21 ゴブリン大討伐 ・ 逃走者発見
一行は先行している冒険者たちとの合流地点に到着するも周囲に彼らの気配は無かった。
「酷い」
「うわ!なんだこれ」
アメリとファシールがそう呟いたのは、合流地点に大量の血とゴブリンの死骸、そして無茶苦茶になっている簡易的な拠点を目にしたからだ。幸い、人の死体が無かったのだが...
「酷く荒らされているな。周囲を警戒しつつ2人1組で先行している冒険者の捜索をしろ!」
「「「はい!」」」
「それと『土系統壁系魔術』を扱うことのできるものは私の指示に従って壁を作ってくれ」
「「わかりました」」
その後、ヴェルミリアの指示で冒険者たちが動き出した。
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捜索を開始した少し経った後に『土系統壁系魔術』を扱う冒険者によって、簡易的な拠点を作成された。
「よく頑張った。お前たちは休憩して魔力を回復させておけ」
「はぁはぁ、わかり・・・ました」
「わかりました」
疲れ切っている冒険者に肩をかして連れて行くのを見送った後に、スンスン...スンスン...と鼻を鳴らしたヴェルミリアは
「こっちか?」
そう言い、先行した冒険者たちの捜索を開始した。
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時は少しさかのぼり、ファシールとアメリはプレフォロン大森林に向かっていた。
二人は先行した冒険者の捜索を開始する前に他の冒険者たちの方向を確認し、冒険者の数が少ない方向に移動しようと決めていたのである。
「アメリ、誰かいたか?」
「いいえ、何も見つからなかったわ」
「ゴブリンどころかメフォディレ草もないよな」
「えぇ、メフォディレ草は繁殖力が高いのに...メフォディレ草の繁殖力ですら追いつかないほどの数のゴブリンが居たのかしら」
「でもゴブリンの姿も見えないんだよなぁ」
そうファシールとアメリが会話していると、ごそごそと茂みが揺れる。
「なんだ」
ファシールとアメリはすぐに戦闘態勢に移る。
「たっ助けてほしいダス!ゴブリンに襲われてるんダス!」
そう言いながら茂みの中から現れたのは、傷だらけの斧を担いだ男と左腕に大きな切り傷を負った弓を持つ、白い兎型の獣人族の女だった。
二人を追うようにゴブリンが現れる。
「早くこっちにこい!そんで『下位鑑定術』」
ゴブリン・ソルジャー 基礎Lv20
下位剣術Lv9 斬撃耐性Lv9 無臭Lv72
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
ゴブリン・ソルジャー 基礎Lv21
下位斧術Lv9 毒耐性Lv9 無臭Lv73
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
ゴブリン・ファイター 基礎Lv 24
基礎攻撃力小上昇Lv78 下位拳術Lv9 打撃耐性Lv9
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
ウィンド・ゴブリン・メイジ 基礎Lv 18
基礎魔力小上昇Lv69 風属性魔術Lv9 暗視眼Lv69
15歳と同等の知能を有し、身長は160cm前後、健康的な体つきをしている。
「うわ!やべぇぞ、アメリ!コイツら、ゴブリン・リーダー級のゴブリンだ!そこの二人が回復したら撤退するぞ!」
「──!わかったわ。二人ともこっちに!『光系統範囲回復魔術』」
二人を癒し始めたアメリをチラリと確認したファシールはゴブリンたちに向き直る。
「始めから全開でいくぜ!『炎系統纏系魔術』」
すると、ファシールは『炎系統纏系魔術』によって髪が赤く染まる。
「よっしゃ!力が湧いてくるぜ──うわっ!あっぶねぇ」
ファシールの姿の変化をものともせず、ゴブリン・ファイターがファシールへ攻撃を仕掛ける。
ファシールはその攻撃をギリギリで避け、
──戦闘が開始した。




