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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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part2 双頭盗賊団襲来

ある夜、森の中で男達が会話を交わしていた。よく見れば、着ている服は汚れており、清潔感のない格好をしている者たちばかりであり、まともな集団でないことがすぐにわかるだろう。


「ボス、標的の村の警備体制を見てきやした。」


そう言う男は少しまともな格好をしているが、やはり清潔感はない。


「ふむ、それでどうだった。いけそうか?」


そう答える男は腰に双剣を携え、少し眉をひそめながら言った。


「へい。それぞれの門に門番が二人ずついるだけで、それ以外の警備は見当たりませんでした。()()()の情報どうりですぜ。」


その言葉を聞いた双剣を携えた男はニヤリと笑い、盗賊団の他の部下達を呼び寄せ、「それぞれの門に5人ずつ団員を襲撃させ門番を殺し、その後に自分は悠々と物資をあさる」という、お粗末としか言えない作戦を指示した。


約30分後、盗賊団の男達は、門へと駆け出し、


「俺たちゃ、双頭盗賊団(そうとうとうぞくだん)だ!ちっせぇ村の門番ごとき瞬殺してやるぜ!」


と調子に乗って名乗りながら襲撃を仕掛けた。


それが失敗だった。元より、村の中で素行が悪いだけの対して強くもない連中が盗賊になったところで、強くなるために努力したわけでもなく、ただ相手より数が多くというだけで勝ちを確信してしまっていたのだ。門番をしているのだから魔術が使えても不思議ではないということも考えずに名乗りを上げ、結果として、相手に先制攻撃をする機会を与えてしまったのだ。


「『水系統壁系魔術(ウォーターウォール)』」


そう唱えるだけで盗賊の男達は前後二手に分けられてしまった。前に出ていた二人は魔術の音に驚いて振り返り、後ろの方にいた者たちは立ち止まり、呆然と突如発生した水の壁を見ていた。そして、運悪く魔術の発動に巻き込まれてしまった男は上空へと打ち上げられ、受け身もできずに落下死してしまった。後ろを振り向いて、絶叫と共に落ちてきた仲間の最後を見ることなく、前にいた二人の盗賊は門番のガリンによって首を落とされた。


後ろにいた二人の盗賊は、『水系統壁系魔術(ウォーターウォール)』の解除と同時に放たれた『水系統矢系魔術(ウォーターアロー)』によって、目から脳を貫かれ死亡した。


もう一方の門では、盗賊たちは斥候まがいの役割を担っていた男の指示によって静かに行動していた。暗闇の中に身を潜め、目を凝らしても見えないように門番達の死角であろう場所を移動していたのだ。


しかし、冒険者を辞めて時間がたっても冒険者の勘とは衰えないもので、門番をしながらおしゃべりをしていたダイナとダリオンは口を閉じて顔を見合わせる。そして、


「『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』」


ダイナは『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』を唱え元冒険者の勘が囁く場所へ先制攻撃をした。


まだ気付かれていないと考えていた盗賊たちは突如現れた炎の渦を回避することができに黒焦げになり、全滅した。


「こりゃ、無理だな。」


遠くからその炎の竜巻を見ていた双剣を携えた男は即座に次の行動を開始した。そう、逃亡である。


その時、ダイナが放った『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』を見て急いで村に帰還していたファシールとアメリが双剣を携えた男と鉢合わせた。

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