Part19 ゴブリン大討伐 ・ 開始
ファシールとアメリは無事に緊急依頼を受けることができた。
その後、中位冒険者と上位冒険者のみが集められてゴブリン大討伐の作戦説明が行われ、その説明する部屋の隅にファシールとアメリも参加していた。
「みんな、集まってくれてありがとう。ギルド長のテッドだ。早速だが、今回の緊急依頼の作戦会議を始める」
そう声を発したのは、領都サリオンの冒険者ギルド長のテッドである。
「ゴブリンどもはプレフォロン大森林の外へ出てきている。今は先行させた冒険者によって出てきたゴブリンどもは討伐されているだろうが、プレフォロン大森林からゴブリン・リーダー級以上のゴブリンが出てきたら対処しきれないだろう」
テッドは集まった冒険者の目を一人一人見ながら話す。
「ゴブリンどもは多い。どれだけすり潰しても集団で行動するゴブリンどもの主が存在する限りは攻め続けてくるだろう。そこで、ゴブリンどもの主をいち早く討伐し、集団そのものを解体する。これが今回の作戦だ」
そう言い、テッドの目は一際目立つ存在へと向く。
「今回の作戦の鍵はお前だ。『紅色』」
そう言いながらテッドは鮮やかな赤色の髪の女性の肩を叩く。
「任せろ。必ず仕留める」
テッドに肩を叩かれた『紅色』はそう返事を返した。
そして、テッドは作戦の詳細を説明していく。
ファシールとアメリに割り当てられた役割は、ゴブリンの主にまでの道を切り開き『紅色』の消耗を少しでも抑えることであった。
二人は『紅色』の消耗を抑える他の中位冒険者と顔を合わせ、進行時の形態を相談しながら馬車でプレフォロン大森林へ移動した。
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「そういえばさ、領都の兵士って参加すんの?」
形態の話し合いが終了し、ふと疑問に思ったファシールは隣に座るアメリに尋ねる。
「知らないわよ。でもまあ、来るんじゃないの?」
当然、アメリが知っているわけもなく、憶測で「来るだろう」と言ったが、
「いや、彼らは来ない」
そう言ったのは『紅色』と呼ばれる女性、ヴェルミリアである。
「なんでだ?領都の危機なんだから兵士が戦うんじゃないのか?」
と、ファシールが質問する。
「ふむ、これはあまり広めないで欲しいと言われているんだが...まぁ、君達は私を支援してくれるのだからいいだろう!実は、出発前にギルド長に言われたのだ。3年前に起こった巡回兵の不祥事、その影響で巡回兵の数が半数ほどにまで減少してしまった。まだ数が回復しきっておらず、領都の巡回兵は冒険者たちの援護ができない...だとさ」
ヴェルミリアの説明にファシールが質問を重ねる。
「でもよ、巡回兵以外の兵士はいるはずだろ?そいつらが来ない理由はなんだ?」
「うむ、もっともな疑問だな。実は巡回兵以外の兵士は領都の外に出た任務がほとんどないらしい。領主の親衛隊みたいな一部の例外を除いてな。だから、巡回兵以外の兵士が参加してもあまり戦力にならないかもしれない。それ以前に、この混乱に乗じて悪さをしでかす輩がいるかもしれない。だから、巡回兵以外の兵士は来ないのだよ」
ヴェルミリアはファシールの質問に答えて、ため息を吐く。
ファシールはさらに質問しようとするが、
「まぁ、何かの間違いで親衛隊が助けてくれるにしても、ゴブリンの数の暴力の前では数が少なすぎる。だから、親衛隊も来ないのだ」
ファシールの言いたいことがわかっているかのようにヴェルミリアはファシールが質問する前に答えた。
「そ、そうかよ」
自分の質問よりも先に答えられたことに驚きつつも、ファシールはヴェルミリアに返事をする。
「そろそろプレフォロン大森林に到着するな。全員、準備はできてるか?」
ヴェルミリアが同じ馬車に乗っている中位冒険者たちに鼓舞するように尋ねる。
「俺たちはできてるぜ」
ファシールが最初に反応し、他の中位冒険者たちも次々に返事をしていく。
「よし!ではプレフォロン大森林に到着した後、周囲のゴブリンどもを一掃する!」
「「「おう!」」」




