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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
17/60

Part17 中位冒険者

初めて依頼をこなして以降、ファシールとアメリは依頼をこなしては休むと言う生活をしていた。


「今日はこれだな」


そう言いながらファシールが選んだ依頼は

───────────────


依頼名:コボルト討伐

依頼者名:冒険者ギルド

報酬:コボルト一体につき、700フランツ

達成条件:恒常依頼のため達成条件なし

注意事項:コボルトを討伐した証明として、

     コボルトの魔石を持ち帰ること。

     また、死体は焼却処分すること。


───────────────


という、戦闘に特化したものであった。


「私はこれね」


アメリが選んだ依頼は


───────────────


依頼名:レフォゾワン草の採取

依頼者名:冒険者ギルド

報酬:1束銅貨2500フランツ

達成条件:10本で1束とし、5束分集まれば達成

注意事項:根っこを引く抜いて採取してください

     5束分以上に集めたレフォゾワン草も

     別途買取交渉をするかもしれません。


───────────────


という、これまた採取に特化したものである。


「では、こちらで受け付けますね」


アリシアは二人から依頼書を受け取る。


「今日も今日とて頑張りますか」

「そうね」


ファシールとアメリはそう言い、冒険者ギルドから馬車に乗ってプレフォロン大森林に向かった。


-------------


「いい加減、馬車での移動も慣れてきたぜ」

「そうねぇ」


アメリは体を伸ばしながらそう言うファシールに返事をする。


「コボルトってプレフォロン大森林の奥の方にいるって情報だったよな?」


「そうね。ついでに言うとレフォゾワン草も大森林の奥の方らしいわ」


二人は事前に調べていた情報を再確認して移動を開始した。


途中にハイゴブリンやゴブリン・ウォリアー、ゴブリン・メイジが集団でいたが、ファシールとアメリの敵ではなく、


「『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』」


ファシールが放った『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』で蹴散らされていた。


「『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』」


ファシールの『炎系統竜巻系魔術(ファイアーハリケーン)』で取りこぼしたゴブリンたちをアメリが『光系統光線系魔術(ライトレーザー)』で屠っていく。


「まあ、余裕だな」


ファシールはそう呟きその呟きに同意したアメリは移動を再開した。


-------------


その後、ファシールとアメリは危なげなくコボルトの討伐とレフォゾワン草の採取を達成して、冒険者ギルドへ帰還し、コボルトの魔石とレフォゾワン草、ついでに途中にいたゴブリンたちの魔石をアリシアに渡して鑑定してもらった。


「お二人ともお疲れ様でした。レフォゾワン草が5束で12,500フランツ、コボルトの魔石が20個で15,000フランツ、ハイコボルトの魔石が2個で2,000フランツ、そして、ハイゴブリン、ゴブリン・ウォリアー、ゴブリン・メイジの魔石が全部で12個で9,000フランツ、合計38,500フランツです」


アリシアがファシールとアメリにお金を渡す。


「そして、お二人ともこれにて中位冒険者になるための依頼が全て達成されました。おめでとうございます!お二人とも、これからは中位冒険者として活動が可能です。これまで通りの依頼を受けるもよし。より難しい依頼を受けるもよしです。お二人の活躍を陰ながら応援いたしますね」


そう言って、アリシアはファシールとアメリに中位冒険者の冒険者カードを渡す。


「よっしゃ!」

「やったわ!」


中位冒険者になれた事を喜びながら、ファシールとアメリはアリシアから中位冒険者の冒険者カードを受け取る。


「おめでとさん」


背後からぬっと顔を出したヴェルクが二人を祝う。


「うぉっ!」

「きゃっ!」


いきなり背後から声をかけらけた二人は驚き、声を上げた。


「おいおい、そんな調子で本当に中位冒険者なんてやっていけるのか?」


驚かすつもりで声をかけたヴェルクは、カラカラと笑いながら二人にそう言う。


「う、うるせぇ!そもそも気配を消してるヴェルクが悪いだろ!」


「ウガー」と言いながらファシールはヴェルクに飛び掛かる。


ファシールの攻撃をひょいと避けたヴェルクはアリシアに報告する。


「プレフォロン大森林でゴブリンが大量発生している。ロード級以上のゴブリンが出現したと見ていいだろう」


ヴェルクのした報告は吉報とは呼べない代物であった。

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