Part15 依頼進行中
ファシールとアメリは馬車で3時間以上かけてプレフォロン大森林の入り口に到着した。
「あぁ〜腰がいてぇ〜」
そう言いながら、馬車から出たファシールは身体を伸ばす。
「確かに疲れたわね。でも、依頼はこれからよ」
アメリがファシールに賛同しつつも、依頼に向けて気持ちを切り替えるように言う。
「そうだな。頑張ろうぜ」
ファシールがアメリに賛同した後、二人はプレフォロン大森林の中へと足を踏み入れた。
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二人は探索を開始してから10分ほど森の中心に向けて歩いていると、
「ぎゃ」
「ぐぎゃぎゃ」
と、ゴブリンの声が聞こえてきた。どうやら、仕留めた動物を食べているようだ。
「『光系統刀系魔術』」
「グギャァ」
アメリが先制攻撃を加える。それに続いてファシールが駆け出すと、
そこにはアメリの『光系統刀系魔術』で全滅したゴブリンが転がっていた。
「…おい!俺の分まで残しといてくれよ。これじゃあ元気が有り余っちゃうぜ。次は俺が戦うからな!」
ファシールはプンスカと擬音がつきそうな声でアメリに要求する。
「はぁ〜」
アメリはため息をつきながらも首を縦に振り了承した。
その後、二人はメフォディレ草を探しながら移動していると、
「『下位鑑定術』…おぉ見つけた。これがメフォディレ草か〜」
ファシールは丸みを帯びた上向きに咲いている白色の花と二つの大きな葉がついた花を見ながらそう言う。
「依頼には根っこを引っこ抜いて採取してって書かれているから、丁寧に抜き取らないと」
そう言いながらアメリはメフォディレ草の周りの土を少しずつ取り除いていき、5分ほどかけてメフォディレ草を採取した。
「ふぅ…これを後49回もしないといけないの?」
アメリは少し疲れたように言い、周囲を見渡す。
そこには大量にメフォディレ草が自生していた。
「がんばれ〜」
そう無責任に言い放つファシールはというと、アメリが採取をしている間にアメリを見るだけで手伝いもしなかった。
「ファシールもちょっとは手伝ってよ!」
「いや〜、『下位収集術』を持っているアメリがした方がいいでしょ」
アメリが持っている『下位収集術』は中位以下の素材を収集するときに補正が乗るといったスキルであり、ファシールは持っていなかったため、メフォディレ草の採取はアメリに任せることになっていたのだ。
「それはそうだけど…ちょっとくらいは手伝ってくれてもいいんじゃない?」
アメリはファシールに言う。一見しおらしく見えるが、ここで手伝わないとこの先一週間ほどは口を聞いてくれないだろうと想像できるほどの圧がアメリから放たれていた。
「わかったよ。でもよ、手伝うって言っても、何すればいいんだよ?俺あんまこうゆうのって得意じゃないんだけど…」
ファシールがアメリに尋ねる。
「同じようにメフォディレ草を引っこ抜いてもらうわ。まあ、大丈夫よ。私と同じようにやればなんとかなるから」
そう言うと、アメリはメフォディレ草の採取に取り掛かる。ファシールもアメリの採取の仕方の真似をしていく。
二人はたわいもない話をしながら採取していく。最初は採取に戸惑っていたファシールも上達していき、アメリのような速さではないにしろ7分という時間で取れるようになった。
そして、3時間ほどかけて50本を採取し切ったのである。
「腹減ったなぁ」
採取し終わったファシールは集中力が切れ、頭が空腹に支配されていた。
「そうね。そろそろお昼にしましょう」
そう言いながら、アメリは自身のバックから携帯食の干し肉を取り出して食べだした。
「う〜ん。あんま美味しくはないな」
アメリと同じように食べだしたファシールは干し肉の味があまり好みではなかったようだ。
「ちょっと、気にしてても言わなかったのに。そう言われたらもっと美味しくなく感じちゃうじゃない!」
アメリも好みではないようだ。
こうして、黙々と干し肉を食べた二人はゴブリンを探しては討伐できるように、プレフォロン大森林の移動を開始した。




