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傲慢な英雄の書  作者: ヴェルク・メイカー
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Part13 冒険者試験の結果

模擬戦の終了を宣言したアメリはファシールに駆け寄っていく。


「お疲れ様、ファシール。アリシアさんがあんなに強いなんて思わなかったけど、引き分けにできてよかったね」


そう言いながら、アメリはファシールを労う。


「いや、アリシアさんが技能を発動していれば、対応できずに俺がすぐに負けていたと思う。手加減されて引き分けじゃあ喜べないなぁ〜」


と、ファシールは先ほどの模擬戦を思い返しながら言う。


「ふ〜ん、まぁそれはいいとして、傷見せて。アリシアさんの攻撃、まだ痛むんでしょ?」


「よくわかったな」


「それくらい当たり前でしょ?幼馴染なんだから」


そう言い合いながら、ファシールはアメリに特に痛むところを見せる。


「うわ!すごい傷。これ相当痛いでしょ」


アメリが見たのは赤黒く染まったファシールの脇腹である。傷の具合を見たアメリは、ファシールを心配する。


「ふぅ、治すわよ。『光系統単体回復魔術(ヒール)』」


アメリは『光系統単体回復魔術(ヒール)』をファシールに施す。すると、またたく間にファシールの脇腹の色が元の肌色へと戻っていく。


「すごい回復速度ですね。アメリさん」


そう声をかけてきたのは先ほどまでファシールと模擬戦をしていたアリシアである。疲労困憊のファシールに対して、少し息が上がってはいるが、まだまだ余力があるようだ。


「ありがとうございます」


アメリはアリシアの称賛に対してお礼を言う。


「これは、『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』の方にも期待できますね」


アリシアはそう言い、模擬戦前に声をかけていた大剣の男に話しかける。


「アメリさんの『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』を受けてくれる方は集まりましたか?」


「もちろんですよ!アリシアさん。五人くらい見繕ってきました」


「ありがとうございます。では、アメリさんの『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』の効果を確認しましょう」


アリシアの指示のもと集められた五人の冒険者たちを整列させる。


「では、アメリさん。お願いします」


「はい!『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』」


アメリが『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』を発動させ、癒しの光が集められた五人の冒険者を包み込む。そして、かすり傷や火傷などの軽度の怪我から、捻挫や打撲といったそれなりの怪我が見る見るうちに治っていゆく。


「お~、すごい!捻った足の痛みが急速に引いていく」

「ビック・スライムに溶かされた腕の皮膚が元に戻っていく!」

「さっき、ちょ~熱いお肉食べて火傷した口の痛みが無くなっていく!後でもっとおにくたべよっと」

「やったぜ!筋肉痛が消えていく!大剣の型の練習メニューをもう一周するぜ!」


アメリの『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』を受けた冒険者たちは癒えていく自身の傷に対してそれぞれ反応する。


「おぉ!これはすさまじいですね。捻挫ほどの怪我を五秒で直し切るとは...しかも、アメリさんは『水属性魔術(みずぞくせいまじゅつ)』を用いて攻撃することもできる」


アリシアはアメリの『光系統範囲回復系魔術(エリア・ヒール)』の効果を見てそう呟く。


「ふむ、とりあえずこれで冒険者試験は終了です。お疲れさまでした。結果は、しばらくしたら直接お伝えしますのでもう少しの間、冒険者ギルド内に留まっておいて下さい」


アリシアはファシールとアメリにきちんと聞こえるように言う。


「おっけ~」

「わかりました」


二人はアリシアに返事をした。


-------------


二人は訓練場で模擬戦をしたり、冒険者ギルドの受付広場で冒険者達と情報交換をして時間をつぶしていた。


「ファシールさん。アメリさん。試験の結果をお知らせしますので、先ほど受付した場所までいらしてください、とアリシアさんからの伝言です」


冒険者の男からアリシアの伝言を受け取った二人は、直前まで話していた短剣使いの冒険者と『土属性魔術(つちぞくせいまじゅつ)』の使い手の冒険者に別れを告げ、アリシアが待っている場所へ移動した。


「お待たせしました。ファシールさん。アメリさん。お二人の冒険者試験の結果を報告しますね。お二人とも()()()()()中位冒険者が妥当という判断が出ました。こちらがお二人の冒険者カードです。まあ、この判断には私も賛成ですね」


そう報告したアリシアは冒険者カードをファシールとアメリに手渡す。。


「やったぜ!」

「よかった。ちゃんと合格できて」


二人とも自身が冒険者になれそうということで安堵をし、アリシアから冒険者カードを受け取った。


「ところで、条件ってなんだ?」

「確かに、他の冒険者達に聞いた話にはそんな話なかったわね」


二人の疑問に答えたのはアリシアではなく、冒険者ギルドに戻ってきていたヴェルクだった。


「お前らはなぁ、強いんだ。同い年のやつでは足元にも及ばないほどに、な。だが、お前たちは成人したばかりでまだ幼い。ちゃんと冒険者としての常識ががあるかどうかはわからない。そこで、いくつかの依頼をこなすことで中位冒険者としてふさわしいかどうかをたしかめるってぇことだな」


ヴェルクは二人の頭をなでながらそう説明する。


「よくご存じですね。それと、提示する依頼を受けないとしても冒険者になれないというわけではなく、下位冒険者としての活動は可能ですのでご心配なく」


アリシアはヴェルクの説明を肯定しつつも、補足の説明を入れる。


「ふ~ん。でもまぁ、俺は依頼を受けるぜ。なんたって中位冒険者になれるんだからな」

「そうね。私も依頼を受けようと思うわ」


二人はやる気十分といったように依頼を受けるという意思を表明する。が、


「まあ、今から依頼をこなすにはちょっと時間が足らねぇからな。明日から依頼をこなしていった方がいいぜ」


ヴェルクが言うように、少ししたら辺りが薄暗くなるといった時間であったため、二人は翌日から依頼をこなしていくことにしたようだ。

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