Part11 冒険者試験
「では、冒険者試験を始めます。試験官は私、アリシアが担当させといただきます。よろしくお願いいたします」
「「よろしくお願いします!」」
自己紹介をした試験官アリシアはさっそくといったように、
「まず、魔術を見せてもらいます。え~っと、アメリさん」
「はい!」
「使える『水属性魔術』の中で最高レベルのものを見せてください」
アメリに『水属性魔術』を見せてほしいと言う。
「わかりました」
アメリはアリシアに返事を返し、少し息を吐く。そして、
「『水系統竜巻系魔術』」
自身が使うことのできる中で最高レベルの魔術を発動する。
「おぉ、凄いですね。その年齢でLv8の魔術を扱えるとは...」
アリシアがアメリを褒める。
「えへへ///」
褒められたアメリは照れて頭をかく。
「ふむ、『光属性魔術』を『水属性魔術』と同等に扱うことができるのであれば、Lv8の『光系統範囲回復系魔術』を使うことができますか?」
「はい。あまり使うことはなかったですが、一応使うことができます」
「素晴らしいですね!効果を確かめるために怪我をしている冒険者を集めましょう。そこの人、「けがをした冒険者を無料で治療する」と言って5人ほどけが人を集めてきてください」
アリシアはたまたま近くで大剣の型の練習をしていた冒険者に声をかけた。
「あ、アリシアさん!わかりました!ついでに僕も『光系統範囲回復系魔術』の効果を確認するために受けてもいいですか?」
大剣の男はアリシア達の会話を聞いていたようで、そんな提案をする。
「はぁ、まあいいでしょう。いいですね、アメリさん?」
「は、はい。大丈夫です」
アリシアは呆れながらアメリに確認し、アメリは提案を承諾した。
男は「やったぜ」と言いながら大剣を担ぎ、訓練場を後にする。
大剣の男が行動に移ったのを見たあと、アリシアはファシールに向き直り、
「次は、ファシールさんの魔術を見せてもらいます。ファシールさんは『炎属性魔術』でしたね。アメリさん、『水属性魔術』ですぐに消火できるように準備をしておいてください」
「はい!」
「よっしゃ!俺の番だぜ!」
アメリは、アリシアに返事をし、ファシールは自分の番になったことで張り切りだした。
「いくぜ!『炎系統竜巻系魔術』!」
ファシールはアメリの放った『水系統竜巻系魔術』よりも大きな『炎系統竜巻系魔術』を放つ。
「ファシール、やりすぎよ!『水系統竜巻系魔術』」
アメリがファシールの『炎系統竜巻系魔術』の2分の1の大きさの『水系統竜巻系魔術』をファシールの『炎系統竜巻系魔術』の内側に放って相殺する。
「危ないじゃない!」
「いっってぇ!なにすんだよ!」
アメリがファシールの頭に拳骨し、その痛みに悶絶する。
「建物自体は燃やしてねぇだろ」
「確かに、あの規模の『炎系統竜巻系魔術』だったのに建物には一切被害がないですね。素晴らしいコントロールです。それに、アメリさんのとっさの相殺も見事なものでした」
アリシアは二人の魔術のコントロール力を褒める。
「さて、ファシールさんは槍も得意だと記述されていましたね。槍の実力も見ておきたいので、私と模擬戦をしましょう。アメリさんは審判をお願いしますね」
「はい」
「おう!望むところだぜ」
アメリとファシールはそれぞれアリシアに対して返事を返す。
「では、こちらで自分に合うサイズの武器を選んでください」
アリシアは模擬戦用の短めの木剣3本、ファシールは木槍をそれぞれ手に取り、訓練場の中心へと足を運ぶ。
すると、周りの冒険者たちがざわつきだした。
「あれ見ろよ」
「おいおい、あのアリシアさんが模擬戦をするのか?」
「えっ、アリシアさんつったら元上位冒険者の?」
「すげぇ、アリシアさんの模擬戦が見れるなんてラッキーだぜ」
そう口々に呟いていき、やがて、訓練場にいた冒険者全員がアリシアとファシールの模擬戦に注目していた。
「では、これから模擬戦を始めます。よろしくお願いします」
「よろしく~」
かくして、ファシールとアリシアの模擬戦が開始した。




