1話 転生者の末路
私は森の中を進んでいた、舗装されていない道を歩くのは、私の人生とかけ離れていた。
「そういえばさ、転生者の末路、知っているか?」
「いえ、知りません」
そうぶっきらぼうに言った。その言葉を聞いたのか、呆れた声でこんなことを言った。
「お前の凍った感情、素晴らしいな。でもな、この世界は人脈が命だ」
そして着いた先は、丸太で簡単に作った小屋があった。
「ここが私の家だ、肉や血がついているが住めなくはない」
「職場より綺麗」
「転生者の末路、まだ言ってなかったな」
そう言って火を手から生み出し、切った薪に点けた。
「転生者の末路、大きく分かれて二つある、例外もある、一つは王国軍に捕まって奴隷として働かせる、転生者は外から来たからな、体は頑丈なんだ、だからいい働き手なんだ、もう一つは私みたいな魔族に捕まって食べられるか」
「どうして私を食べないのです?」
「面白い人間だからだ、食べようとすると命乞いをしてすぐ情報をぺらっと出すからな、それに対し、お前は心が凍ってる」
「いえ、私は凍ってないです」
「心が凍ってるんだよ!」
そして凍ったブロック肉を取り出してきた。
「とりあえずご飯にするぞ」
そう言ってかまどに松明を投げ入れ、肉を鉄板の上に置いた。
「それって、人間の肉です?」
「魔族は人の肉を喰らうと聞くが、まずいんだよ、あれは緊急用、これはオークの肉、香ばしいんだよなぁ」
そう言って私の分の肉を取り分けてくれた。
「ほら、食べな、これでいったんは心を落ち着かせろ」
その肉は、何も味付けがされていない、焼いただけの肉だ。
「いただきます」
私は素手で食べた。
「熱いけど……うまい」
「だろ?」
「でもお肉だけ」
そう言って私は肉を完食した。少し物足りないと思ったと感じ取ったあいつは何かを取り出した。
「今までの転生者とは違うな、これで木を切ってくれないか?」
渡されたのは、斧だった。よく見ると研がれた形跡があった。
「切れ味が凄いから腕とか切らないでね」
私は言われた通り、木を切りに行った。
「大木だけど、言われた通りにやらないと」
私は斧を木に叩きつけていった。
「あいつ、大木なのに切ろうとしてる、まさか、社畜だったのか?」
私は黙々と斧を木に叩きつけていった、その時、あいつが声をかけてきた。
「ストップだ、まさかとは思ったが、ブラック企業の奴隷根性全開の奴か……気に入った」
「いえ、まだ切れてないので認めないでください」
そう言って木をまた切りつけた。
「だーもう!ストップって言ってるんだよ!」
後ろから止められた、その時何かが当たった感触があった。
「……今のは?」
後ろを振り向くと、顔を赤らめているあいつがいた。
「もう!」
「どうかしました?」
「敬語は無し!私はルナ!」
急に自己紹介しだした、なんだコイツ。
「それって、名前です?」
「そうだよ!」
そう恥ずかしながら言ってきた。ここで自己紹介するのか。
「私は風沖一花です、ちなみに25歳です」
「年齢までどうして言っちゃうのよ、ならイチカって呼んでもいい?」
「イチカですか……いいです」
「まずはその凍りきった心をどうにかしないとね」
そう言って丸太を置いた。
「何か魔法とか使って?転生者なら使えるはずなんだけどね」
「魔法ですか……ファイア?」
手から出そうとしたが、出たのは汗だった。
「転生者なら炎系の魔法覚えてるんだけれどね……魔力が無いの?」
そう言って体に触れてきた。
「魔力があまりない、と言うことは?」
そういって考え込んでいた。
「どうしたのです?」
「謎の抱擁感が私を襲うぅぅぅぅ」
そして結論が出たらしい。
「もしかしてなんだけど、転生者じゃなく、転移者なの?」
「わからないです」
「ほら、トラックで轢かれてそのままこの地に降り立ったとか……」
「爆発して壁を突き抜けて、それから地面に落ちていったら、ここに着いたということです」
そして小屋から何かを取り出してきた。
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