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第八話 波乱の初日

入学式が終わると、新入生たちは各自のクラスに分かれてオリエンテーションを受けることになった。俺は自分のクラスが発表されるのを待ち、掲示板の前で息を呑んだ。俺の名前は「1-A」のリストに記されていた。指定されたクラスに向かい、教室に入った。そこにはすでに数名の生徒が座っており、自己紹介を始める前だった。


「次の人、どうぞ。」俺の順番が回ってきた。


「斉藤一郎です。よろしくお願いします。」


俺の自己紹介に、クラスメートたちは興味深そうに頷いた。特に女子たちがざわつき始め、視線を感じたが、特に意識しなかった。


「うわ、かっこいい…」

「あの筋肉、すごい…!」

「背も高いし…」


女子たちのひそひそ話が聞こえてきたが、俺は特に気にせず、自己紹介を続けた。


「生まれつき魔力回路が損傷していて、魔法を使うことができません。みんなと同じように魔法の授業には参加できないかもしれませんが、他の方法で貢献したいと思っています。どうかよろしくお願いします。」


クラスメートたちのざわめきは、一瞬にして静寂に変わった。その後、ちらほらと聞こえてくるのは、明らかに俺を嘲笑うような声だった。


「魔法が使えないって、本当?」

「魔法が使えないのに、なんでこんなとこにいるんだ?」


そんな中、クラスで目立つ存在の一人が声を上げた。黒髪のイケメン、一条院零だった。一条院家は魔法界でも名門中の名門、その家系は代々、強力な魔法使いを輩出してきた。一条院零も、その家系の血筋を受け継ぐ、期待の星とされている。


「おい、斉藤。まさか、お前、魔法が使えないってマジか?」


零は冷酷な笑みを浮かべながら俺をにらんでいた。


「…ああ、その通りだ。」


俺は淡々と答えた。


「ふっ、魔法が使えないのに、この学園に来る意味があるのかね? それに、お前みたいな奴が、俺たちと同じ土俵に立つのは、気持ち悪いんだよ。魔法が使えないなら、最初から来るなよ。」


零の言葉は俺の心を突き刺す。しかし、その時隣の席に座っていた生徒が親しげに話しかけてきた。


「斉藤君、新入生なんだね。僕は白井涼生。よろしく。」


白井涼生は、にこやかに話しかけてきた。彼の見た目は整った顔立ちに明るい茶髪、そして柔らかな笑顔が特徴的だ。背は俺より少し低いが、細身ながらも筋肉がしっかりとついている。彼の親しみやすい雰囲気は、新しい環境に溶け込むための大きな助けになりそうだ。


「よろしく、白井君。」


俺は軽く手を振って応えた。彼の笑顔を見ていると、少しだけ緊張が和らいだ。


自己紹介が一通り終わった後、先生の自己紹介が始まった。


「皆さん、今日はようこそ蒼葉魔法学園へ。私はこのクラスの担任、斉藤涼子です。これから一緒に頑張りましょう。」


斉藤先生は元公安の捜査官だった女性だ。事前の資料で確認していたものも実際に彼女から指導を受けることになるとは思わなかった。


「さて、これから皆さんに専攻科目を選んでもらいます。各自の興味と適性を考慮して、しっかり選んでください。」


専攻科目の選択が始まると、俺は事前に調べておいた魔法工学科の資料に目を向けた。魔法を使えない自分でも、他の方法で貢献できることを証明したかった。


「斉藤君、専攻科目は決めた?」


白井が興味津々に尋ねてきた。


「ああ、魔法工学科にするつもりだ。」


「魔法工学科か!面白いな。何か困ったことがあればいつでも言ってくれ。僕たちクラスメートはみんな仲間だからさ。」


白井の励ましの言葉に、俺は少しだけ安心感を覚えた。しかし、一条院零の冷酷な視線は、俺の心を重くした。新たな環境でのスタートは、想像していたよりも険しい道のりになりそうだ。零の冷酷な視線は、俺の心を重くした。新たな環境でのスタートは、想像していたよりも険しい道のりになりそうだ。

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