第11話 新しい装備
美月と再会した日の夜、俺は自宅の寝室で公安から渡された資料を確認していた。リストには闇影や関連団体から接触のリスクがある人物が載っており、美月はその中でもトップクラスだった。
俺がこの世界に転移したあの日、なぜ美月が誘拐されたのか、それは彼女の莫大な魔力が関係していた。闇影は異世界から強力な兵器や技術、さらには怪物などを召喚し、この世界を支配しようと企んでいる。しかし、異世界へとつながる召喚魔法は莫大な魔力を必要とするために彼女が利用されたわけだ。
リストに載っている他の人物も家柄が良い者や魔力が強い者、魔力量の大小による劣等感を抱くものなど奴らにとって利用価値のある者ばかりだ。すでに学園内の生徒に闇影だけではなく過激派の工作員が紛れているという情報もある。
『彼らは劣等感や悩みを利用されてるだけだ……なるべく武器を使うことは避けたいが、こいつを携行しておくか……』
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時はさかのぼり入学前日。俺は公安の課長に呼び出され任務の最終確認をしていた。
「斎藤くん、君の任務は潜入捜査になる。くれぐれも君の正体を明かしてはならんぞ。」
「えぇ、わかってます。ただ俺が転移した時に居合わせた美月さんも入学すると聞いています。彼女は俺が普通の学生ではないことを察してると思いますが……」
橘美月、俺は彼女の前でテロリストたちを殺害しているとこを目の前で目撃されている。彼女はそんな俺を一般人とは思っていないだろう。
「安心しろ、彼女含めお前に関与したの者には例の事件のことを一切口外できないようにしてある。万が一口が滑ったときは国家反逆罪に問われると説明付きでな。」
「特務権限って恐ろしいですね……」
もしかして俺ってとんでもない組織に入ったのでは?
「ところで、君の学園内での銃器の所持だが……」
(まぁ、さすがに学生が拳銃を持ってるなんてどう考えてもおかしいよなぁ……)
「こちらで所持及び携行の許可書を学園に出しといた。」
えぇ……公安って怖い……
「君特有の魔装具として国の許可書を正式に出してある、とはいえ通常の攻撃魔法と同じく使用は緊急時や別途許可が必要となるから気をつけたまえ。」
俺は一応お礼を言い、課長室を後にしようとすると課長によびとめられた。
「美咲君が君専用の新しい装備を開発してくれてな、これも持っていけ。」
そう言われ、机の上に置かれたアタッシュケースを開けると複数の弾倉のようなものが入っていた。
「あのこれは?銃の弾倉みたいですが……」
「この弾倉にはデジタル化した魔法陣と魔力が組み込まれている。使用できる回数と種類はは限られてはいるが君でも魔法を使うことができるだろう。」
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ということがあり、俺は弾倉入れに強化弾2つ魔力弾倉を2種類準備をして眠りについた。