第四話
ひかるこ「作ってくるから、少し待っててね。」
ひかるこはおもむろに鶏もも肉と調味料を取り出して、キッチンへ向かった。
おや、いい香りがするなぁ。こんな
"いい香りのキッチン"
は初めてだ。
「今できたよ♡」
美味しそうな唐揚げがボクの勉強机に運ばれる。今は7時か...
今日の
”夜ご飯は唐揚げ”
だな。
早速一口食べてみる。
「サクっ」
あつい!
辛いし、あつすぎる。こんな辛い唐揚げは初めてだ。舌が焼けて剥がれてしまいそうだ。喉も燃えている。
ひかるこ「宿題の恨みよ!!」
熱い…熱さでろれつが回らないボクの舌はどうなっているんだろう。考える余裕もない
ひかるこ「さっきの調味料は全部唐辛子だったのよ!致死量を入れたわ!」
だからこんなに辛くて熱いのか!
舌が半分ぐらいなくなった。もう半分も無くなるのは時間の問題だ。はやく倒さないと!
バシッ
ひかるこ「きゃ!痛い…」
ドスッ
ガンッ
ボクはひかるこを壁に叩きつけた。
ひかるこ「わた…のか…あげがな…と」
何か言っている。なんだ?
ひかるこ「…まえは…ぬ」
まえはぬ?まえはしぬ?おまえはしぬ?
最後まで何言ってるんだよこいつは。とりあえず意識は飛んだな。
はぁ、やっと倒せた。悪女はボクの前から姿を消し、醜い唐揚げだけが残った。こんなもの、捨ててやる。
ボクはゴミ箱に唐揚げを捨てた。普段は食べ物を無駄にすることなどありえないボクだが、一切の抵抗もなく唐揚げを処分した。
ボクはひかるこのことは頭から消して、急いで宿題に取り掛かった。